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真夜中の“黒い”マリア様

 今 年2月来日し、素晴らしいライブを届けてくれたマリア・マルダーの新譜が届く!

 http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/103_5maria.html

 お お〜〜っ、く、くろい!

 横浜サムズアップでのライブでもずいぶんブルースっぽい渋い歌だったけれど、今回は、もっとファンキーというかソウルに寄ったかっちょいいブラックフィーリング溢れるロックになっている。それもそのはず、まずその選曲にアール・キング、マーヴィン・ゲイ、アラン・トゥーサンなどを取り上げているし、その他にも、ボブ・ディランが3曲、それにガース・ブルックスやバディ・ミラーのカントリーロックなナンバーなど、決してブラック一辺倒ではなくバラエティにとんでいるのだが、声がますます魅力を増し、円熟のキャリアがかすれた声にカラスの濡れ羽色的な艶やかさを与えている分ソウルフルに聴こえてくるのだ。ロックなのに黒いのだ。それがカッコイイのだ!

 だ が実はこのアルバム「YES WE CAN!」(アラン・トゥーサンの作曲でポインター・シスターズでヒットした曲)は、今の世界がおかれている状況(戦争、核拡散、地球温暖化、豊かな地球の急激な資源枯渇、大量殺戮、貧困、飢餓など)に対して、「私たち女性ができることを行う・・イエス ウィ キャン!」という強いメッセージを持ったプロテストソング集である。もちろん抗議するだけでは何も変わらないこと、その抗議は平和に転じないかぎり無意味なことを身を以て知っている女性・母性たちの歌は、とかく観念的に反戦を語りたがる男どもより、時に雄弁に訴えかけくる。

 またアルバムにはフィーチャリング[THE WOMAN’S VOICES FOR PEACE CHOIR]とある。訳せば「女性平和合唱隊」になるんだろうか。

 そ の合唱隊に参加されている方々がすごいです。

 “ジョーン・バエズ”、“オデッタ”、“フィービー・スノウ”、“ジェーン・フォンダ”、マリアの娘“ジェニ”そしてマリアのソウルシスター(横浜サムズでそう紹介していた)“ボニー・レイット”!!

 そ の素晴らしい合唱隊を率いたマリアの強い意思のこもった歌を聴いていたら、急にヨーロッパ各地にあるという「黒い聖マリア像」のことを思い出した。

 聖母マリアが色黒のはずはないのであるが、フランスやスペインのある地域には多く見られるのだそうである。一説にはむりやりキリスト教に改宗させられたドルイド教信者たちが、密かにこのマリア像を作り、隠れて信仰したらしい・・・なんてことをぼんやり考えていたら、彼女の一番有名なアルバム「真夜中のオアシス」のジャケットに立つ彼女が、そもそも黒いマリアに思えてきた。彼女「オールド・タイム・レイデイ」って実は、豊穣の神、太古の原子心母と合体した聖母マリアのことだったのだろうか・・・


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