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真夜中の”65才のマリア”様

 昨 晩、御年65才の“マイ・オールド・タイム・レイディ”聖母マリア様を拝みに横浜サムズアップに参内し、その御声を謹んで拝聴する・・・・向かって右のモニタースピーカーの真横から拝んだ横顔からは、後光(ん?横光か?)が射しておられました。

 日 頃よく、「肥沃な大地」という言葉を耳にするけど、「肥」も「沃」も、どちらも「ほどよく肉がついていて滋味あふれる」という意味である。マリア様は身体もそうだったけど、その声や音楽がよく「肥え」ていた(太っていたんじゃないよ!)

 3 5年前の奇跡的にキュートなあの声ではもちろんない。また、よく「年齢を感じさせない声」なんて言うけど、その歌声は十分に年齢を感じさせてくれた。でもそのまるで神の恩寵を伝えるかのように、音楽を通して上手に人生を積み重ねた歌声がとても良かったのだ。

 65才のマリア・マルダーは「肥沃な音楽世界」を我々「こころ貧しき者たち」に、まさしく届けてくれたのである。

 ジ ム・クェスキン・ジャグ・バンド時代の名曲「アイム・ア・ウーマン」がオープニング!その後ゴスペルやメンフィス・ミニーやベッシー・スミスらのブルーズナンバー。そしてエイモス・ギャレット、ドクター・ジョン、ネヴィル・ブラザース等と作った、“ニューオーリンズ”がテーマのごきげんなアルバム「ルイジアナ・ラブ・コール」からは「ケイジャン・ムーン」(J・J・ケール作曲)と「クレオール・アイズ」!・・・僕は両曲とも大好きなので聖母の慈愛に満ちた選曲に泣きそうになる。このあたりから聖母のエンジン(そんなものがあるのか?)は全開である。そしてまた「パーシー・メイフィールド」のブルースを実に楽しげに歌うと、続けて親友「ボブ・ディラン」のラブ・ソングカバー「バケット・トゥ・レイン」のカバー・・・そしてラス前ではついに「真夜中のオアシス」!ギターの方がエイモスの完コピを披露して大いに盛り上がりつつ、そのまま大団円「ドンチュー・フィール・マイ・レッグ」に突入!!・・・鳴りやまぬ拍手に応えたアンコールでは、なんとアカペラでゴスペル(曲名不明)を歌ってくれたが、胸にズシーンと響く絶唱にヤラれました。日本人が「アメイジングストーリー」を歌っているのを聴くと、恥ずかしくて一人で顔が赤らむが、これがアメリカーナの奥深さというか基層の厚さの違いというのか、心の底からのシンパシー溢れる聖マリアンナのソウルフルな歌の世界に完全に帰依しました。南無、アッラー、アーメン!

 彼 女は、歌いながらも、よく左手で、バンマスのキーボード(彼だけはアメリカから参加)に演奏上の指示を与えていた。

 「ピッコロもっと歌って!」とか「そこのコントラバス!抑えて」なんてやっている、まるで弾き振りの音楽家の指揮のようだったのが面白かった。

 ク ラシックの指揮者は右手でリズムを、左手で表情をオケに指示するが、彼女の左手の指示通りに音楽の表情が微妙に変化するんだね!

ビバ!マリア!・・・という映画があったんだけど、誰も知らないよね!


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