と、これは天才の誉れ高い女性ヴォーカリスト、吉田美奈子。 和製ローラ・ニーロとも呼ばれている。 彼女は自分のことを「ボク」といい、少年のような口調で話す。 「ボクはずーっとソロでやってきたから楽屋にいてもつまらないんだ。 だから本番前はステージにきて心を落ち着けてるんだ。」 「・・・・」 「そういえばさっき君たちのリハ見たよ。けっこうカッコ良かったよ、コーラス。 演奏も面白かったけど。 ・・・君たちってココナッツバンクのメンバーなの?それともコーラス専門のグループ?」 ・・・・なんでこの美奈子って人は一人でよくしゃべってるんだろう。 無口だって評判のはずなんだけどなぁ・・・・ 「あの、違うんだけど。僕たちはシュガー・ベイブっていうれっきとしたバンドで、 今回は大瀧さんが・・・」 「お〜い、クマ〜」 と、ドラムス担当の野口明彦が走ってきた。 「楽屋でムラマツくんがさがしてたぞ。」 「わかった。じき楽屋にもどる。」 美奈子は言う。 「じゃあボクはもうすぐ出番だから。君たちもがんばって。」 「あっ、それじゃ話のつづきはあとで。」 |
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