vol.01


1973年9月21日 17時25分
文京公会堂

「顔色悪いわよ。だいじょうぶ?」
と、楽屋の弁当をパクつきながら言ったのは、ター坊こと大貫妙子。ヴォーカル&キーボード担当。
「緊張してて、下痢がひどくて。」
 たしかに冴えない顔色をした、ムラマツくんこと村松邦男。ヴォーカル&ギター担当。
「人がもの食べてるときウンコの話ししないでよ、ほんとに。」
「いや、そうでした、ほんと。よくそうやって食べながらウンコって言えるね。ところでクマは何してんの?」
「ゲッ!ウンコ飲み込んじゃった・・・んなわけナイでしょ。
 クマはさっき機材チェックするってステージに行ったわよ。」
「機材チェックーッ?だって俺たち今日、演奏しないんでしょ。なんでそんなもんするの〜?」

その頃うす暗いステージでは長髪をゆらしながら猫背で歩く男のすがたが。クマこと山下達郎。
ヴォーカル&ギター担当のすがたである。
「これがハモンドB3かぁ。いい楽器つかってるなぁ。俺たちもいつかそのうち・・」
「山下く〜ん、何してるの〜。」


次のエピソードへ 最新エピソードへ