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「Golden Biscuits / Three Dog Night」
アレンジにこだわらずいい曲をカバーし、いい曲を書こう!
by Ohji

 第9弾からコメントに参加して、もう第39弾。いままでに310アーティストのコメントを書いてきたことになります。「やっちゃいましてん...」にも書いたことですが、これだけ多くのアーティストの作品を聴いても、メロディや歌い回しに独特なものを持っている人はたいへん少ないのです。

  その理由としては、今の若いミュージシャンたちが、ジャンルから入るというのが根が深く、一番厄介だなぁと考えています。最初にジャンルが決定していると、そのスタイルにはまっていくのと、はまったスタイルの中でオリジナリティを出していくのに時間がかかり、なかなかメロディのユニークさを追求するところまでたどりつくことができないのでしょう。
 また、オリジナルを作ることができない、落ち着いて作曲するような時間がないなどの理由で、練習スタジオでセッションして曲の形に仕上げていくとすると、オケ先攻ということで、どうしても自分達が目指しているジャンルにありがちな曲調になってしまう。というような理由もあるでしょう。
 しかし、これでは進歩がありません。自分のジャンルだけでなく、むしろ自分達とはあまり結びつかないようなアーティストの歌をカバーしてみることも必要です。そういう「自分達とは別物だがメロディがいい」楽曲のアレンジや歌い方などを自分達特有のものに変更できれば、アレンジの良い勉強にもなりますし、楽曲自体がかなり意欲的な作品になるでしょう。

  そういった努力を続けていけば、自分の作曲能力も知らず知らずのうちにアップしていくと思います。
 この作業自体はそんなに難しいことではありませんが、カバーする楽曲を探すのはかなりシンドイことだと思います。フダンからあらゆるジャンルの音楽をチェックしていなければなりません。

  そんなことしている暇があったらオリジナル曲を書いた方がいい、そう簡単にいい曲ばかりみつかるわけがない、みつかってもかっこよくなるのか?オリジナリティはだせるのか?といろいろギモンが噴出するでしょうが、そういうバンドが実在していました。スリー・ドッグ・ナイトというバンドです。
 彼らは編成もちょっと変わっていて、ギター、キーボード、ベース、ドラムスの4人に、3人のボーカルが曲調によってリード・ボーカルを交代で歌う7人組でした。と話だけ聞くと、これに管楽器3人もいれば「○○ラドン健康センター」てな場所でカラオケのバックでもやっていそうです。

  ところがどっこい、3人のボーカリストはそれぞれ、ストレート系、ソフト系、ブラック系のリード・ヴォーカルを担当しながら、美しいハーモニーを展開し、バッキング担当の4人は楽曲の良さを最大限に引き出すアレンジでしっかりと演奏しながら、全体としてまとまると、ほんの一部分を聴いただけでもすぐにスリー・ドッグ・ナイトとわかるサウンドに仕上げていました。これは選曲の時点からよほど気を付けていないとできないことでしょう。
 しかし、彼らのスゴさはこれだけではありません。楽曲を書いた人がいわゆるヒットメーカーばかりなら、話もわかるのですが、彼らはまだヒット曲も無いようなシンガーソングライターのいい曲をもどこからか探してきて、ライターが有名無名にかかわらず、どんどん録音し、リリースしました。

  そしてその後、書いたシンガーソングライターは一人前、あるいは大御所への道をたどっていったのです。
 ライター達の名前をリストアップしてみると、レノン&マッカートニー、スティービー・ワンダー、エルトン・ジョン、ニルソン、ランディ・ニューマン、ポール・ウィリアムス、トラフィック、ロビー・ロバートソン、ローラ・ニーロ、ティム・ハーディン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ジェシ・コリン・ヤング、ジェームス・ギャング、フリー、ラス・バラード、アラン・トゥーサン、レオ・セイヤー、クレイグ・ダーギー、アンディ・フェアウェザー・ロウ、ホイト・アクストンとものすごい人たちが並びます。

  しかもこの人たちの半分以上は、初めてスリー・ドッグ・ナイトが曲を録音した時には、まだあまり有名ではなかったというのがオドロキです。
 またもう一つオリジナリティという点では、軽いロックンロールというよりは、ハードロック寄りのリズムに、オルガンとレスリースピーカーを駆使したギターがかぶるというスタイルが特徴になっていて、ロータリー・エフェクトを研究中のギタリストには必聴アイテムといえるでしょう。
 今回はアルバムを初期のベスト盤「Golden Biscuits」にしましたが、ベスト盤ならどれを聴いても良いと思います。ベスト盤でないアルバムは入り口としては、趣味的過ぎると思うので。
「Golden Biscuits」収録曲
1. One
2. Easy to Be Hard
3. Mama Told Me (Not to Come)
4. Eli's Coming
5. Your Song
6. Celebrate
 7. One Man Band
 8. Out in the Country
 9. Nobody
10. Woman
11. Don't Make Promises
12. Try A Little Tenderness


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