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「Headquarters / The Monkees」
著作権って何? 印税ってそんなに大切?   by Ohji

 このサイトではオリジナルでなくてもデモテープを聴き、コメントしますが、基本的にオリジナルを書き、歌うことを勧めています。それはなぜでしょう?もちろん自分の声にあった楽曲を自分で書くということもありますが、曲を書くということがお金を稼ぐということに直結するからです。今回はそんなことについて書いてみましょう。
 またこのサイトではよく著作権の話が出てきます。著作権というのは音楽に限らず、オリジナルを作った人が持っている権利で、オリジナルが盗用されるなどの被害に会わないように法律で守られています。
 あなたがアーティストとしてデビューし、オリジナル作品がヒットすると、音楽だけではなく、あなたが書いた文章、マンガ、ロゴマークなども売り物となり、著作権はあなたにとって大きな意味を持つことになります。
 具体的には、どんな形であれオリジナルを使ってお金を手に入れた場合、そのオリジナルを作った人に印税というものを払うという方法です。
 印税というとなんだか税金のようだけど、そうではなくて「ぼくの作った曲を歌ってお金稼いでね。稼いだらそのX%をぼくに支払ってね。」というお約束で、オリジナルを作った人に還元されるお金のことです。ですからあるアーティストが大ヒットを放ったとして、CDが売れても、ガッポリと稼ぐのは作詩・作曲をした人だけで、歌と演奏だけの人達はコンサートなどでギャラ(出演料)を稼がなくては生きていけません。
 で、今回はレコードの内容自体と印税とはあまり関係ありませんが、モンキーズです。モンキーズというのは、ビートルズがアメリカで売れて以来、イギリス人一色になってしまったアメリカのヒットチャートをアメリカ人の手に取り戻すべく、60年代後半にミュージック・ビジネス界によって作られたバンドです。
 毎週モンキーズ・ショーというかなりシュールなコメディ番組が放映され、何曲ものヒットをチャートに送り出しました。日本でも毎週オンエアがあったこともあり、人気がありました。
 オーディションで選ばれた4人のメンバーはどちらかというとミュージシャンというよりはタレントという扱いを受けていました。ファースト・アルバムの中での彼等の主な役割はヴォーカルを歌うということに限られていて、本格的な楽器演奏やプロデュースに関与できたのはギターのマイク・ネスミス1人でした。収録されている楽曲の内、メンバーのオリジナルはわずか1曲と共作がこれも1曲だけでした。
 数多い彼等のヒット曲の中でも、デイヴィ・ジョーンズが歌った「デイドリーム」は日本人好みで、CMのBGMに使われるたびに何度もヒットしています。そのため解散後も特別に再編成して来日したり、デイヴィ一人で来日したりしています。
 僕が初めてワーナーパイオニアからアルバムを出した時に、そのデイヴィもワーナーからアルバムをリリースしていて、同じ会社ということで紹介してもらったことがあります。芝の増上寺で彼に会ったのですが、その時彼が念を押すように何度もアドバイスしてくれたのは「曲は絶対自分自身で書くんだよ。」という言葉でした。
 モンキーズというグループは作られたバンドであったため、自分達が歌う曲のほとんどが、発案者の「ボイス・アンド・ハート」をはじめ、キャロル・キング、ニール・ダイヤモンド、ニルソンといった実績のある職業作家達の作品だったのです。
 「デイドリーム」もジョン・スチュワートという作家の作品でした。それでデイヴィが歌っている「デイドリーム」がラジオなどでかかるたびに、ジョン・スチュワートさんにお金が入るということになります。
 このように自分で楽曲を書かないと、CDが売れても自分にはお金が入らない、あるいはほんのちょっとしか入らないといったことが起こります。それはおろか自分で歌ったり、演奏したりしたのに、作家達に印税を支払わなければいけません。
 彼等がこのことに気付き、ある程度の実権を持ってアルバム制作に力を入れ始めたのはこの「Headquarters」からです。このアルバムでは自分達の演奏もフィーチュアされ、半数の楽曲が彼等自身の楽曲になったのですが、すでにモンキーズ・サウンドというものが定着していたのでそこから大きく離れるワケにもいかず、このアルバムのセールスと彼等自身の才能を結び付けて考える人はあまりいませんでした。
 これからアーティストになりたいと考えている人はこういう問題を頭の中のどこかに置いておいてください。
 特にバンドで活動している人は、バンドのオリジナルを作曲する時やアルバムに収録する曲を選ぶ時、著作権者の名前指定をする時など、後々メンバー同士でケンカにならないように注意しましょう。
 
「Headquarters」収録曲:ただしオリジナル版です。現在発売されているCDにはこれら以外にボーナス・トラックがあります。
1. You Told Me
2. I'll Send My Life With You
3. Forget That Girl
4. Band 6
5. You Just May Be The One
6. Shades Of Gray
7. I Can't Get Her Off My Mind
 8. For Pete's Sake
 9. Mr. Webster
10. Sunny Girlfriend
11. Zilch
12. No Time
13. Early Morning Blues And Greens
14. Randy Scouse Git


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