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10. 20才までにプロベーシストになる


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 久々のお悩みです。相談してくれたのはcalさん。16才の男性、現在高校1年生です。さっそく、お悩みを聞かせてもらいましょう。



 今、私立高校で勉強をしながらバンドを組んでいるのですが、最近、頻繁に思う事があります。それを聞いていただきたくメールを送っています。それは今後の自分の進路です。僕の高校は大学と繋がっているので、ある程度勉強していれば、すんなりと大学に行けるという幸運な立場にあります。しかしながら、この頃、授業中などに「今やっている(勉強している)事が本当に自分の将来に関係するのだろうか?」と思うのです。

 僕の目標は「20才までにプロベーシストになる」という事なのですが、今、過ごしている生活を考えながら、この目標とを照らし合わせると、とても20才ではなれない。としか思えないのです。何故なら、僕の高校は自分のレベルよりも高めなんです。そんなわけで、勉強を置いていかれないようにするだけでも厳しい状況です。だから、今の生活は基本的に勉強する時間と比べるとベースを触れる時間の方が明らかに短いのです。そういう事もあって、「このまま高校にいても、時間とお金のムダ」としか思えなくて・・・音楽以外にやりたい事のない僕にとって、当然、行きたい学部なんていうのもありませんので。

 それなら、高校を辞めて音楽学校にでも行くべき。とも考えてみたのですが、両親が僕の為に高いお金を払ってまで高校に行かせてくれているのに、僕から「高校を辞めたい」なんて言うのがどれだけ親不孝で、どれだけ両親を失望させるかも簡単に想像出来ます。だから、そんな軽い気持ちで「高校を辞める」とはとても言えません。

 しかし、このままでは、勉強も音楽も集中して出来ない宙吊りの状態です。流石にいつまでも、そのままじゃマズイのでこの辺りでどうするか決めなければならないと思います。両親からの思いに応えて、このまま高校生活を過ごし、大学にも行き、それから音楽の道に進むかどうか考えるか。あるいは、自分の夢の為に両親の期待を裏切る形になってでも高校を辞めて音楽の道に進むか。僕にとってココが人生の分岐点になる!と思い、これだけの事を自分1人だけで決断するのも難しいので、是非何か助言等していただければ・・・と思います。

 P.S. 僕が「20才までにプロベーシストになる」という目標を持っていると言いましたが、別に20才にこだわる必要はないんじゃないの?と思うかもしれません。別にプロになれるのならもっと遅くてもいいんじゃないか?と。確かに20才じゃなくとも、25才でも30才でも良いかもしれません。 でも、そういう風に思ってしまうと「もうちょっと、もうちょっとだけ時間がかかってもいいだろ・・・」という甘えが出て来て、そこから、練習の方にも妥協が出て来て、遂にはプロへの道が閉ざされてしまうんじゃないか?という不安があるので、自分に妥協する事ないよう制限時間を決めておこう。と思い、20才までにという目標を掲げました。

 それから「20才までにプロベーシストになる」とは別で生涯を通じてでの夢があります。それは、自分の作った、メロディーでも、歌詞でも、たった1フレーズだけでもいいから、10年、あるいは100年後に、僕の作った何かを聞いたり見たりして「お?これいいじゃん!」みたいに感じてもらえるような何かを作りたいのです。

 これだけの夢になると、そんな簡単に↑のようなモノは作れなく、場合によっては一生かかっても作れないかもしれないです(むしろ作れない方が多いでしょうが・・・)だから、そんなモノを作れる可能性を増やす為にも音楽に注ぎ込む時間を作りたいと思っているのです。



 という相談者の悩みですが、今回もOhjiがお答えしましょう。 この相談者のとるべき道は

ケース1:高校を辞めて音楽の道に進む(音楽学校にバイトしながら行く?)
ケース2:高校は卒業し、音楽の道に進む。
ケース3:このまま高校生活を過ごし、大学にも行き、それから音楽の道に進むかどうか考える

と三つ考えられると思うので、ひとつずつ考えていきましょう。

 まずケース1の場合、音楽と生活の両立をしていかなくてはいけないので、かなり苦しい選択となります。自力で勉強できる人なら、音楽学校に行く必要は特別ないとは思いますが、音楽学校に行く、行かないのどちらを選んだとしても、かなりな苦労を強いられることになるでしょう。アルバイトは学歴およびスキルがないため、時給があまり良くないバイトをすることになるでしょうから、バイトに長時間を割かなくてはならず、へたをするとバイトするのが忙しく、音楽の勉強などもやる時間がなくなってしまうかもしれません。

   次のケース2で必要とされるのは、高校の間にコンピュータ関係、英語力など、卒業してからの活動に不可欠なスキルを身につけながら、一方で音楽を勉強することです。いろいろな音楽を聴いて、バンバンコピーし、どんなコード進行でどんなフレーズを使ったら良いのかということを吸収してください。
 その際に相談者は「勉強を置いていかれないようにするだけでも厳しい状況」を強調していますが、本当に音楽を職業としたいのであれば、いかにして卒業後の活動をしやすくするかということを考えれば良いだけで、勉強についていく必要はないと思います。もちろんご両親の失望を招くということは避けられないでしょうが、本当にマジメに音楽を職業にしたいのだということを説明し、実行できれば、理解してもらえると思います。

 ケース3は一番余裕を持った考え方で、言ってみれば現実的な考え方です。大学で良いメンバーと出会える可能性もあります。行きたい学部というのは「楽しい」のではなくて、「社会に出てから活動するのに役立つ」という考え方で決めれば、おのずと決まってくると思います。

 で、最後にP.S.部分に移りますが、「20才までにプロベーシストになる」という目標を掲げるのは良いのですが、考え方はちょっといただけません。相談者は「練習の方にも妥協が出て来て、遂にはプロへの道が閉ざされてしまう」と書いていますが、それは自分にそれだけの欲求、努力がなかったためにに起こることだと思います。本当に音楽が好きであれば、年齢は関係ないはずです。ましてや、10年後、100年後に自分の作ったなんらかの作品を聴いてもらえるということは、自分がビッグ・ネームになるか、ビッグなグループに所属する必要があるわけで、よっぽど運が良くない限りはゆっくりとかまえて、作品を創っていった方が良いでしょう。

 といったところがアドバイスできることだと思います。もし分からないことがありましたら、もう一度メールしてください。

OHJI

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