タイトル
03. 多くの人に聴いてもらいたい


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 3回めは『ai』さんからのお悩みで、

「初めまして。お忙しいところ恐れ入ります。私はシンガーソン グライターを目指す26歳女の子です。今売り込み方、動き方で悩んでいます。 事務所等にデモを送ったり3ヶ月一度の一曲限りライブに出るだけで、とにかく どう動いたら良いのか分かりません。歳も歳だし焦るばかり。ただただ少しでも 多くの人に聴いて欲しいけれど、具体的な手段がわかりません。もっとライブに 出ていくべきか、自己満足になりかねないCDを作って動いていくべきか。勿論ま だまだ勉強の身ですが、何か前に進んで動いていきたい。どんな事でも結構です 、お返事待っています。ご多忙の中こんな事・・ごめんなさい。」

というものです。

 お悩み自体が根本的なので、3人のファーマーに答えてもらうことにしました。



     チャン隊長

 状況が詳しくは判らないので基本的な事をお答えします。

 この場合、やるべきテーマは二つです。自分の内側と外側。

 まず自分の内側というのは言うまでもなく、作詞作曲能力、楽器の演奏力、歌、パフォーマンス、音楽に対する考え方・・・等、そのアーティストに要求される全ての能力を高めていく事です。かなりの難題です。挫折しそうになるでしょう。でも音楽が死ぬほど好きであれば不可能ではありません。時間はかかりますが。
 そこで問題になるのが「どういう方法を取ればいいのか」ということです。これも答えはひとつ。コピーをすることです。半端なコピーではありません。好きなアーティストを決めて全作品をコピーするのです。この相談者の場合は女性シンガーソングライターですから、キャロル・キングやカーペンターズとかが良いかもしれません。かなり古いですが多作なうえ名曲が多いですし、なにしろエバーグリーンですから。慣れないうちは楽譜集などを参考にしてもかまいません。コードやメロディ、歌い方の癖など、あらゆる事をコピーします。
 初めのうちは1曲に1週間もかかるかもしれません。それでいいのです。だんだん効率よくコピーできるようになります。やがて1曲1日に、さらには1曲数時間でコピーできるようになる頃、あなたの音楽に対する全能力は見違えるほどになっているでしょう。
 おそらく1年や2年、あるいはそれ以上かかるかもしれません。途中で投げ出したらおしまいです。実は音楽をやっていく以上、ある意味では一生コピーをやめるわけにはいかないのです。  では作詞に関してはどうすればいいのか。まず、本を読んで、映画を見て感動してください。そして、何故?どういうところに?感動したのか分析するのです。日常の会話などでも、自分の言葉で相手がどういう反応をするのかを気をつけるようにします。言葉のパワーを感じ取ってください。作詞をするという事は、原稿用紙にすれば何十枚にも及ぶ物語をたったの十数行に書き換える行為なのです。

 そしてこれらの事と並行して行うのが自分の外側です。

 すぐに思い付くのは、ライブ活動と音楽関係会社へのデモの送付でしょう。でも待ってください。この自分の外側で一番大事なのは、仲間を作る事なのです。仲間を作る、といってもバンドをやれというのではありません。ミュージシャンの仲間をたくさんつくるのです。ライブで対バンした相手や、見に行ったライブの出演者、あるいはストリートのミュージシャン達に声をかけて仲間を作ってください。そして色々な話をしたり、作品の発表をしあったり、たまには演奏したり、そうやって交流を深めていきます。
 そうしてお互いに啓発しあっていくうちに、あなたは今までの自分と随分変わっている事に気がつくでしょう。

 ここまで来るのに長い事かかりました。今のあなたはもうミュージシャン生活にどっぷりとはまっています。この先どうなるのか?それは誰にもわかりません。でも、もうどうやって行動するかという事で悩むことはありません。自分の内側を高めるためにやってきた色々な事や、仲間との交流のおかげであなたには自信があります。あなたの行動や言葉には力が付きました。

 さあ、明日はまたライブだ。



     ぶらきぼう

 パブロ・カザルスという著名なチェリストがいます。
 この人は、晩年(90才以上の長生き!)子供にチェロを教えていました。そのときのエピソードでぼくが好きなのは次の話です。

 生徒  「カザルス先生、どう弾くとうまくなるのですか?」
 カザルス「どう弾くか?大事なことは『どう弾くか?』ではありません。『なぜ弾くか!』ということこそ大事なのです。」

 歳端も行かぬ子に、そんな高尚なこと言ってもなぁ!という気がしないでもないが、「どう(HOW)伝えるのか?」より「なぜ(WHY)音楽を伝えるのか?」の方が大事だと思います。

 但し、その答えは、頭で考えていても出てきません。また正解というものもありません。
 音楽は、極めて身体的表現手段です。頭で考えてから演奏したり、歌ったりはしないように、演奏してから、或いは歌ったあと「あー、なるほど、だからオレ(ワタシ)はあーゆーふーに弾いた(歌った)わけなのね!」と事後的に振り返って判る、ギターでいえば「お指先」状態、歌で言えば、「お口先」状態で表現されてしまうものです。ですから、どう動くべきか、と考えるより前に、のどが潰れる程歌ってみるとか、血豆が潰れるほどギターやベースを弾いてみるとか、とりあえず身体を酷使して音楽をやってみることをお奨めします。きっとそのあとに、あなたなりの「何故私は音楽をやるのか」の答えが見つかることでしょう。すべてはそのあとではなかろうか。



     OHJI

  広範囲なご質問なので、今回は一般的なことを書くことにします。もっとくわしいことに関しては、「ひとこと言わせて!」に書き込んでもらえば、速めにコメントできると思います。(例えば「キーがAの時、ジェームス・テーラーがよく演るE7の変則ポジションを教えて下さい」という風に具体的に書いてください。)

 まずは自分がどんな歌を歌い、音楽を創っていきたいのかを再確認してください。分かっているようで、自分でなにがしたいのかを理解していないことがあります。
 観念的に「私はこういう音楽が演りたい!」などと思っても意味がないので、実際に音を創りましょう。この時、掘り下げていくことが重要です。「オンガクversoin1」の次は「オンガクversoin2」、そして「versoin3」とどんどんグレードを上げていくとさらに良いです。

 次に音源をいろいろな人に聴いてもらいましょう。身内の人は過少評価しがちなので、最初から他人に聴かせるのが良いと思います。
 これで合格した楽曲は、Net-Sproutなどに送付しましょう。一度に聴かせる曲数は2、3曲がベストです。いろいろな音楽が創作できる人の場合、「これなら世間一般に通用するかな?」というタイプのものでなく、再確認時に創作したものにしてください。そうでないと、聴いていても何がやりたいのか判らないので、その人に才能があるのか、無いのかも判断できません。

 音源を作成する過程で自分の意図したものと違うものができたとしても、捨ててしまうのはやめましょう。デモとして送る音源以外にも、作品は音として持っていた方が良いのです。時間を置いて聴いてみたら、今まで考え付かなかったような曲ができちゃったなんてことも良くあります。フメンにしておくという手もありますが、最初にひらめいた時のインスピレーションが失われてしまうことが多くあります。時には、気分転換に冒険、実験などしてしまうのも新しい発見があって、勉強になると思います。

 ライヴ活動はホームグラウンドのライヴハウスを決めて、じっくりと定期的に行って下さい。あまりアチラコチラで単発的にライヴをしても効果的ではありません。とはいってもチャンスがあれば、大きな場所に多数のアーティストが出演するようなイベントにはチャレンジして下さい。
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