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韓国映画「新しき世界」〜NEW WORLD 〜

 年の僕の映画ベストテンの上位5作品は

1位 「高地戦」(韓国)
2位 「メランコリア」(デンマーク)
3位 「悪いやつら」(韓国)
4位 「黄金を抱いて飛べ」(日本)
5位 「神弓」(韓国)

だった。なんと、3作品が韓国映画である。

 で、今年も早速ドキドキヒリヒリする韓国ヤクザ映画に出会った。一言で言えば、「仁義なき戦い」と「ゴッドファーザー3」を併せてスピード感をブーストしたような映画・・・とでも言えばいいだろうか。

 トーリー展開が読めないのは韓国映画の常だが、今作も、こちらの読みを確実にはずし、完璧に裏切ってくれる。だがその裏切りには、必ず納得のオチが用意されている・・これが韓国映画の一番の魅力だと思う。

 国最大のヤクザ企業に送り込まれた潜入捜査官を演じる「イ・ジョンジェ」・・・名作「イル・マーレ」以来の再会だが、クールな演技は健在だ。その「イ・ジョジェ」に非情な命令をくだす上司「カン課長」を演じる「チェ・ミンシク」(写真右)・・・昨年の僕の第3位「悪いやつら」でもその演技力は冴え渡っていた(日本でいえば、緒方拳とか三国連太郎かな)・・だが、この映画の主役は、間違いなく、若い時から「イ・ジョンジェ」とチームを組んで汚い仕事をこなしながら頭角を表わす組織ナンバー2を演じる「ファン・ジョンミン」(写真左)である。その狂気を孕む表情の凄みとは裏腹に、愛する舎弟「イ・ジョンジェ」に時折見せるまことにキュートで人懐こい表情との落差に心を奪われる。彼が組織のナンバー3の手下に襲撃されながらもしぶとく反撃するシーンは、「仁義なき戦い」も「ゴッドファー」をもしのぐ壮絶な立ち回りで映画史に残る「名暴力シーン」となった。また病室で「イ・ジョンジェ」と二人きりで最後の会話を交わすシーンでの人工呼吸器をはずしながらの演技も忘れられない。

 んでん返しのラストで映画タイトル「新しき世界」の意味が明かされる。そして、いつも「ブラザー」と読んでいる弟分「イ・ジョンジェ」が潜入捜査官であることをわかった後も、彼を殺さなかった理由もラストであかされる。

 んな素晴らしい韓国映画が、東京ではわずか2館のみの上映とは寂しい。

 早速ハリウッドが「リメイク権」を買ったそうだが、絶対面白くないと断言する。なぜなら「イ・ジョンジェ」、「チェ・ミンシク」、「ファン・ジョンミン」とりわけ「ファン・ジョンミン」に相当する俳優はハリウッドにいるとは思えないからだ。


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