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(500)日のサマー

 配 偶者から「仕事で出張するので、借りていたDVDを返しておいてチョ」と言われる。「あっ!そう言えば「レスラー」と「500日のサマー」は、面白かったから見れば?」

 はい、はい、見ますとも、見ますとも!

 「 レスラー」は、先月見た「クレイジー・ハート」と同じくグダグダ中年男の破滅的生き方を描いた、一見シビアで、ニガそうだが、実は身勝手な男に対して視点の「甘ぁ〜〜い」映画。僕はこの手の映画には滅法弱いから涙腺がゆるみっぱなしだが、なんといっても、このジャンルには「リービング・イン・ラスベガス」という格別の映画が存在しているので、ミッキー・ロークが「怪物」俳優として再起したことに拍手を送るにとどまる。「クレイジー・ハート」も、アルコール依存症気味のこちとらしてはかなり見につまされるものの、映画の筋立ては「レスラー」にも及ばず・・・だが音楽のすばらしさだけは印象に残った。サントラも素晴らしかったしね。この映画でジェフ・ブリッジスはアカデミー賞を受賞したのだが、ジェフにはもっといい演技がたくさんある。あとそれまで一度も可愛いと思ったことがなかった(といっても「ダークナイト」で一回だけ見ただけだが)「マギー・ギレンホール」が妙に可愛くて色っぽかった。

 で 、(500日)のサマー!こっちはめっぽうオモロい!

 これは、ラブストーリーというより(だったらもともと見てないし、第一、配偶者が借りてこないだろうし、奨めることもなかったろう)男子が大人になるために一度は通過しなくてはならない恋愛(女の子の気まぐれによる失恋)の壁をいかに超えるかという「スタンドバイミー」のような男子の儀礼映画である。

 お そらくほとんどの男子は身に覚えがあるだろうな、この経験!僕のそれは19才のときだった。僕はその失恋から結局4年間立ち直れなかった。まったくその時は息を吸うのも面倒くさかったが、そんなことがあったからこそ今の幸せな境遇があるわけだが、当時はそんな未来が待っているなんてまったく考えられなかったもんなぁ。

 運 命の出会いなんか信じない奔放な「サマー」に振り回される主人公のトムは、すべての出会いには運命があると信じている。映画はそんな二人が出会ってから分かれるまでの500日間を描くが、場面は時系列を追わず錯綜して展開する。その行きつ戻りつの展開が面白い。またトムがサマーと初めて結ばれた翌朝の彼の気分をダンスで表現するところなど、これまで見た事ない素晴らしい映像処理と演出だ。

 ま た使用されている音楽が全編素晴らしい。また音楽そのものも重要な小道具の役割を荷なっている。トムが偶然彼女と乗り合わせたエレベーターで彼のイヤホンからもれてきた音楽にサマーが反応すシーン・・「ザ・スミス?私も大好きよ!」・・・この会話一発でトムはサマーにやられてしまうが、わっかるなぁその気持ち・・「ザ・スミス」に反応するなんて想定外だもんね!そりゃぁ、おいらだってメロメロになるよ!

 ま たデートしているとサマーが「私リンゴが大好きなの!」「えっ?ビートルズで一番人気ないじゃん!」「だから彼ってキュートなのよ」

 とか、「ザ・スミス」はもちろん、「レジーナ・スペクター」や「ファイスト」「ホール&オーツ」他の音楽も効果的に使われている。サントラ購入決定!

 と にかく奔放(でもどこかに孤独を抱えている)サマーを演じるズーイー・デシャネルがキュート!それに最初はナイーブなのにサマーとの苦い経験を超えて徐々に大人の男に変化していくトムを演じるジョセフ・ゴードン=レビットがなかなかカッコいい!ラストシーンで次の就職面接会場に現れるジョゼフを見ていると最初に「キアヌ・リーブス」を「ドラキュラ」でみた時と同じく、”ひょっとして大化けするかも知れない”と思わされた。

 ラストのラストでトムが新たな恋の予感を感じる女性の名前がおかしい。その名前はいったい何でしょう??


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