前のページへ 次のページへ 「エートス」こいて、もぉ〜!トップへ Net-Sproutトップへ
CD収納〜大団円と並べ替え

 お よそ三ヶ月前、「このままでは家の床が抜けるぞ!」と突如配偶者より出された「CD購入禁止令」・・・はてさていかにすべぇか?と思案投げ首であったのだが、結局ソフトケースへ収納する案に落ち着いた。

 し ょせん、CDなどデジタル情報にすぎないのだから、ハードディスクへの集積が最も効率がよい(解説書など、これを機に捨ててしまえ!欲しかったらそんなもの、ネット上にいくらでも転がっているわい)という勇ましいアドバイスもあった。

 だ が、配偶者ともども30年以上にわたってレコード業界及びその周辺で生きてきたのである。その世代にとってレコードとは単なる「音の情報」ではない。あくまでパッケージと一体化してなんぼのもんじゃいである。レコード会社の経営にも携わった経験からいえば、ジャケットのデザイン(色味はもちろん、文字の級数、字体、バランス、文字情報の取捨選択)にどれほど膨大な労力がかけられているのを知っているだけに、あだや帯の一つといえども捨てられないのである。

 高 校の頃読んだ山口瞳のエッセイのどこかに「僕は本の帯が捨てられない。なぜなら、出版社の僕の担当者が「この帯一つで売れるか売れないかが決まってしまう!」との思いから、命がけで「帯」を作っているのを知っているからなのだ」というのがあった。「だから所詮はすぐに破かれ捨てられる運命」にある「帯」とて、とても捨てる気にはなれない」のだと・・・

 だ が、棚の容量と負荷にも限界がある。そこでプラケースからソフトケースへの変換をはかる事にした。これだと収納スペースが約三分の一ですむし、重量も軽くなる。

 と ころでソフトケースにはいくつか種類があった。最初は下北沢の中古レコード屋さんが考案したというソフトケースをお試しで取り寄せたのだが、あまり使い勝手がよろしくなかった。だがネット上ではこれ以外に見つからない。しかたがないので、これにするしかないのか、と諦めていたところ、随分前にCDの収納に困っていた友人が「おれはソフトケースにしたぜ」と言っていたのを思い出したので即連絡。すると彼は、最初はくだんのソフトケースを使用していたのだが、その後、藤沢にある店のものが使いやすいので今ではそれいっぽんやり!」とのアドバイスをくれたので早速取り寄せるとこれが使い勝手がよろしい。

 だ が100枚で4500円である。一枚あたり45円。これが約4000枚必要である、ということは約18万円である!うっ!たけぇ!

 と りあえず1000枚分を注文したのだが、届いたハコには英語のラベルが貼ってあるではないか?そこでそのラベルをはがしネットで検索してみたらそれは米国の会社のライセンスをうけての日本国内産であることが判明。そこでメールで問い合わせると、こちら(米国)でも注文できると言う。そこで何度かやりとりをしていたら、工場はアイルランドなので、そこに頼めと言われる。おりからの円高進行中、対ユーロも円高で推移している!結局、送料や外国送金手数料などを含めても一枚あたり30円ほどですむことがわかり、3000枚を注文した。

 先 週それが我が家に届き、ただいませっせとプラケースを分解しソフトケースへ移管作業の毎日である。

 実 は今回の件を契機に、それまでファーストネームのアルファベット順で並べていたのをファミリーネームのアルファベット順に変更した。つまり、ボブ・ディランであれば「ボブ」の「B」ではなく、「ディラン」の「D」へ並べることにしたのである。

 と いうのは、従来の並べ方だとやたら「B」(ボブやボビーやバーズやバッファロースプリングフィールド)や「C」(チャールズ、チャーリー)など特定のアルファベットが肥大化するのを避けたかったからである。以前からその並べ方も頭にあったので、今回思い切って実行してみたのだがこの並べ替えは他にも思わぬメリットがあった。というのは、当然のことながらこの方法ならボブもジェイコブも同じ「ディラン」で親子が揃うし、リンダもリチャードもダニーも同じ「トンプソン」ファミリー、マリアとジェフとクレアはマルダー家、スティーブとジャスティンとステイシーは「アール」家だし、「イライザ」と「トニー」は「ギルキーソン」でこれまた仲良し兄弟!「ロウドン」と「ルーファス」と「マーサ」は「ウェインライト」で仲良く並ぶことになる。もちろんアーロンやシリルの「ネヴィル」一家も勢揃いである。

 こ うして並べてみると、かの地では当たり前のように親子兄弟で音楽やっているのがわかり微笑ましくあり、羨ましくもある。また血は繋がっていないが、「マイク・ブルームフィールド」と「ポール・バターフィールド」という異なる「フィールド」も仲良くご近所住まいと相成った。やれ目出たいな!

 だ が今回、予想はしていたが「M」と「o」がやたら大きなスペースをとることになった。理由は簡単である。僕のライブラリ−に「Mac」や「Mc」や「O’」で始まるファミリーネームがやたらと多いからである。

 な んども書いてきたが、ファミリーネームの頭に「Mc」とか「Mac」とあれば、その出自はスコットランドかアイルランドである。意味は「息子」。アーサーの息子は「マッカーサー」、クィーンの息子は「マックィーン」、トニーの息子は「マッカートニー」ドナルドの息子は「マクドナルド」である。同じく頭に「O‘」があればその出自はウェールズである。意味は同じく「息子」。ニールの息子は「オニール」、「キーフ」の息子は「オキーフ」、サリバンの息子は「オサリバン」となる。スコッツ、アイリッシュ、ウェールズ・・・大雑把に言えば、これらケルト民族の末裔たちが大西洋を渡って伝えてきた音楽と同じくアフリカ大陸から「渡らせられて」きた黒人たちが伝えたリズムが結びついてロックが生まれたのである。

 僕 のライブラリーには、ブルースをのぞけば圧倒的に白人の音楽が多い。ロックはもともと白人の音楽(スライとジミヘンを除くけど)だから自然にそうなるんだけど、とくに僕が好きなアメリカーナミュージック周辺では、やはり多くのスコットランドやアイルランド、ウェールズの末裔たちが音楽に関わっていて、今も変わらず出来立てホヤホヤの素晴らしい音楽を届けていることをあらためて思い知らされた。


前のページへ 次のページへ 「エートス」こいて、もぉ〜!トップへ Net-Sproutトップへ