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映画「300」と民主政〜昼間のパパは男だぜぃ1

 そ もそも、僕が政治に疑問と興味を持ったきっかけは、ベトナム戦争や学生運動などではなく、学生時代のある夏休み、田舎に帰っていた時のことであった。ひまだった僕は、ある日、近くを流れる川に遊びに行った。子供のころ、木の橋の上から魚を釣ったり、岸辺まで降りていって魚とりや投げ網(僕はしなかったが)で遊んだその川が、コンクリートで「きれいに」護岸されているのを見た時である。それは最早「川」ではなく、淀んだ「運河」だった。一見、きれいだが、そこにはもう生き物の影はなく、流れをなくした水面からは異臭が漂っていた。もちろん川岸まで降りる事もできない、ただ遠くから眺めるだけのどんよりした水の塊であった。

 僕 はその時から40年間、政治に疑問をもって生きてきた。僕と同世代の多くの方々も政治に無関心ではいられないであろうが、僕の場合はイデオロギーより、高度成長と引き換えに失われた「僕の原風景の奪還」の意味だった。

 高 度成長の恩恵は、多くの日本人同様、僕も十二分に受けている。だが、僕らの世代は、それを無条件に受け入れることに対して、無意識に疑問を感じていた筈だ。公害問題(水俣、光化学スモッグ)薬害問題(スモン)はすでに起こっていたし、心のどこかで、この繁栄は、僕を含む日本人がいつのまにやら大きく道を踏み外している結果ではないのか、間違った繁栄を享受しているのではないかというためらいの心と疑いの念がどこかにあった。

 戦 後の空前の繁栄は自民党政権下においてもたらされたものである。僕は選挙権を得てから棄権をしたことはないが、一度も自民党に入れたことはない。55年体制下にあっては社会党に入れ続けた。自民党が分裂したときは日本新党や新党さきがけに投票した。二大政党制になってからは民主党に投票した。

 そ れはイデオロギーの違いではなかった。天然「日本」の原風景を削り取りながら、青松の砂浜を埋め立てながら、清流や渓谷をせき止めながら、国土をむしばむ代償として経済成長の恩恵をこうむっているのではないか、という自らの後ろめたさからの投票行動だったのだ。

 以 前、“日本が少子化で何かご不満でも?少子化・地球温暖化・再販制度の一挙三得法”という文章の中で僕はこう書いている。

http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/039san.html
http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/040san.html

「・・・・唐突な提言で、もうおわかりでしょうが、「うさぎ追おいしかの山、小ブナ釣りしかの川」を100年計画で取り戻す。これです!おいらの野望は!
 里山と小川・・春はチョウチョが、秋はトンボが群れ飛ぶ・・これぞ日本の原風景ではあるまいか。100年かければ、充分取り戻せます。だって、ついこの前までそうだったんだから。日本のことを古くは「あきつしま」といいました。アキツとはトンボの古名です。大和の枕詞でもあります。つまり「やまと」はトンボが群舞するほど緑なす美しきクニということです。一説では、大和の山並みを見た神武天皇が、連なる大和の山々の様子がまるでトンボの交尾が続いているようだ・・「やまとはなお あきつのとなめせるがごとし」と言われたからとも。「となめ」は「尻舐め」と書きます。トンボの空中セックスのこと。トンボの交尾は不思議な光景でしたが、「となめ」とは的確な表現ですよね。いまの子どもたちは見たことないでしょうね。だから古文で「あきつのとなめのごとし」と習っても、ピンとこない。ピンとこないから、女の子に「となめしようぜ」といって、エッチないやがらせもできやしない・・・すげぇ脱線した。
 えーっと、話をもとに戻しましょう。ビオトープでは「やご」が孵ってトンボになって“となめ”しながら、街を飛び回ります。はい。・・・・」

 こ れは、ユートピア(ありえないこと)の話ではない。現実には、まっすぐにしてしまった川を元のように蛇行する川に戻す作業などには、ゼネコンの力が必要である。こういう国土復元事業(もちろん公共事業費を投入する)でゼネコンは、しばし(とはいえ100年計画だから100年の間!)営業的に潤うだろう。

 し かも今回は、こころある市民に「高速道路なんて、ダムなんて、ハコものなんて、余計なモノをつくりやがって!」と後ろ指をさされることはない、どころか「美しい日本」を取り戻してくれてご苦労さん!ありがとね!と感謝されることうけあいである。そんな工事現場で働く昼間のパパは間違いなく素敵だぜ〜〜!

 ゼネコンが尊敬と業績を回復する唯一の方法である。


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