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カーアクション版「ラ・ラ・ランド」〜「ベイビー・ドライバー」

 “ブレードランナー2049”に見事に肩透かしを食らった(だって、リドリー・スコットがプロデュースで、監督が、あれほど面白くて映像も美しかった“メッセージ”のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ですよ!・・そりゃぁ普通に期待するでしょ?でもまぁ、“ブレードランナー”があまりにカルト映画の巨塔としてそびえ立っているので、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督といえどもそれにとらわれて金縛り状態だったんだろうなぁ。そう思うと少し気の毒。)だったので、今日はまだ上映中の「BABY DRIVER」

 ーアクション版「ラ・ラ・ランド」と呼ばれているそうだけど、むべなるかな。というより「ラ・ラ・ランド」よりもオモロイ、ある種のミュージカル!

 行強盗団の逃がしやドライバーが主人公。ボスのケヴィン・スペイシー達から「BABY」と呼ばれている彼は、小さいころの交通事故で難聴になっている。そのため、運転する時は音楽をかけて(ipodにイヤーフォーン)で、集中力を高める。映像は全編彼が聴く音楽とシンクロするが、映画や映像に合わせて音楽が使われているのではなく、音楽に合わせて映像が撮られていて、その映像の転換点と音楽の“拍”が完全にシンクロしているので、爽快この上ない。

 人公がレストランで出会う女の子の名前は「デボラ」・・この時流れるのは“T-rex”の「デボラ」そのあとお返しにbabyがデボラに聞かせるのは“Beck”の「ディブラ」・・タイトル「BABY DRIVER」はサイモンとガーファンクルの曲・・他にもダムド、ブラー、デヴィッド・マッカラムなどの英国勢に、ビーチ・ボーイズ、コモドアーズのアメリカ勢、といった具合にサントラが欲しくなること請け合い(もちろん、私めは、このサントラを車中で聴いております)の素晴らしさ。

 して、BABYに惹かれるヒロイン「デボラ」を演じる「リリー・ジェイムズ」がなんとも可愛らしい!「シンデレラ」の時はなんとも思わなかったけれど、「偽りの忠誠〜ナチスに愛された女」を見て、その華やかな変身ぶりにびっくり。本作でも魅力満開。ラストシーン、BABYをオープンカーで待つデボラ・・セピア色からカラーに変わっていく画面に合わせて華やいでいく彼女の表情がなんとも素敵!

 ボラは聖書に出てくる唯一の女性「士師=預言者」であるが、聖書でも自らは戦わず民と共にいるように、BABYと共に逃走する後半はカーチェイスというより、倒しても倒しても起き上がってくるまるでターミネーター(もちろん、第1作目の方ね、あのシュワルツェネッガーが骨格ロボットと化して倒れても倒れても起き上がってくるあれね!最後はプレス機に挟まれて赤い眼がスーッと消えていくあのターミネーターね!)のごとき不死身の殺し屋に追われるアクションシーンが圧巻。

 ャック・ドミー(シェルブールの雨傘)(ロシュフォールの恋人)、スタンリー・ドーネン(シャレード)、ジーン・ケリーが大好きだといい、ウィリアム・フリードキン(フレンチ・コネクション)(L.A.大捜査線)に「BABY DRIVER」を絶賛されたエドガー・ライト監督・・・はい!音楽と映像のハイブリッドという点ではクエンティン・タランティーノを超えました!


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