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ンタカーの時間までまだ2時間あまりある。フィレンツェは主要な見所はほとんど歩いてまわれるので、もう少し歩くことにする。ドゥオーモ広場をぐるっと一周していると路地の間から、また別のドゥオーモがチラリと見えるではないか。引き寄せられるようにフラフラとそちらに向かうとそこは、メディチ家の礼拝堂「サン・ロレンツォ」であった。お〜ここは、「夜と昼」と「黄昏と曙」と題されたミケランジェロの二つの大理石の彫刻がある筈だ!たしか昼を表す男の鼻は未完成というかモゲているあれだ。
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り口がそこらの食堂の入り口くらい質素で小さい、・・ほんとにこの奥のどこかにミケランジェロの傑作があるの?思わず疑うが、入ってすぐ、空港の手荷物検査と同じものが二つ並んでいて厳重なチェックが行われているのを見て妙に納得する。そうだろ、そうだろ、タリバンが石窟寺院を爆破したようにテロリストが小型爆弾を爆発させたら人類の至宝もコナゴナだもんね。(実際、1993年にウフィッツィ美術館は爆弾テロに遭っている)
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刻があるのは「新聖具室」というロレンツォとジュリアーノの二つの霊廟の上に置かれている。そこに至るまではメディチ家の贅を尽くした壮大な礼拝堂を通って行く。まるでどこぞの由緒ある教会か礼拝堂の如く豪華で華麗であるが、これはあくまで一私人の個人的礼拝堂である。だからか、神を礼拝するというよりメディチ家そのものを跪拝させられるかのような思いにとらわれる。
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の分かえって、明るい空気が差し込む小さく簡素な新聖具室に置かれているミケランジェロの彫刻の方は、メヂィチ家の頭領達の霊廟であるにも拘らず、メディチ家の存在が感じられない。かと言って神を感じるか、といえばこれまたそうでもない。ただひたすら、苦悩の人生をおくった人間ミケランジェロの人間性を感じる、と言えばいいのだろうか・・・この三日後、ローマの壮麗荘厳絢爛豪華の極みとしか言いようがない「サンピエトロ大聖堂」でミケランジェロの「ピエタ像」をみるのだが、そこでもやはり、そのピエタ像のまわりの空間だけが、キリスト教でいう神ではなくミケランジェロその人を感じさせる異質な空間となっていた。
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動しながら隣接する教会のまわりを回る。そこは賑やかな青空市場になっていていろいろなものが売られている。ふと気になって礼拝堂を振り返るとそこにはファザードがないむき出しの隣接する教会の正面が見えた(写真右)。完成していればメディチ家のことだ、さぞかし壮麗なファザードであっただろうが、なにもないのがかえってメヂィチ家の興亡を想起させて好ましく思えた。
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のあと、リパブリック広場まで歩き、「GILLI」という有名なカフェでエスプレッソを飲み、ホテルに戻り、いよいよレンタしてキャンティへ!
だが、左ハンドル、マニュアル、右側通行、しかもミシュランの20万分の1の地図一枚を頼りに初めてのイタリアを60キロ旅するのである。大胆と言われる方もおられるであろう。バッカじゃないの、そうつぶやかれるかたもおられるであろう。
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うなのだ。なにか起こらない方がおかしい。もちろんそれはおこったのである。
次回に続く。
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