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アイ・アム・サム

 “  私はサム。サム・フィリップスです。サムという名前ですが、男ではありません。ちょっと前までT・ボーン・バーネットの配偶者でした・・・ ”

 と いうわけ(ってどんなわけ?)でサム・フィリップスの新譜「DON’T DO ANYTHING」を聴く。なにせ長年連れ添った、T・ボーン・バーネットと別れて最初の、もちろん彼のプロデュースでなく、彼女自身のセルフプロデュースによる作品である。

 T BBなしのサム?一体どうなるんだろうか、と気をもんだのだけど、なぁ〜〜んも心配なし・・・どころか彼女のこれまどを代表する作品になった・・・というか、言われなければ、T・ボーンのプロデュースのように聴こえるほどカッコいいんだもん・・・やっぱりあれほど一緒にいるとうつるんですね、その音楽制作におけるアティチュードが!

 前 衛的だが、音響的な処理もあいまって、なんとも言えないけだるい、でも心地よい倦怠感が全体を覆い尽くす。

 ほ ぼ全編を通じて鳴り響くT・ボーン・バーネットのお抱えドラマー「ジェイ・ベルローズ」の相変わらずの皮鳴りのいいドラムの上に彼女のウィスパーだけど意思力のある強いボーカルがふんわりとだが、キリリと音像を結ぶ。別れたとはいえ、ジェイの鳴り音が、このアルバムもまた、まぎれもなくTBB組の刻印が押されていることを物語っている。

 だ からジャケットの「THANKS FOR・・・」にはちゃんとT・ボーン・バーネットの名前がっ・・・ほっ!
 しかし、やっぱこれを聴くと複雑な気持ちになるだろうなぁ。なにせタイトルが「DON'T DO ANYTHING」(何もしないで!)だもんな・・・でも男を男にするのは、そういう「トホホ」体験だけだから・・・ねっ!TBB!


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