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“ダレスコ”って、一体「誰スコ?」

 あ らまぁ、知らんのかいねぇ?それはね、「ダレル・スコット」おじさんのことなんだよ・・って一体だれにしゃべってんだろう、俺!

 ダレスコことダレル・スコット(って勝手に略しているのは僕だけですけど、何か?)の新譜「MODERN HYMNS」(写真中)を入手!こんどは全曲カバーである。

 ダ レスコを最初に知ったのは、新宿ディスクユニオン5Fで、なんとも奇妙なジャケット(写真左)に惹かれて購入した時だった。なにせギターケースに子供が入っていてそれが水に浮かんで流れているんだもん、買わないわけにいかないでしょ。

 で、これがよかったのだ。ドラムはケニー・マローン、それにウッドベースがアリソンの弟ヴィクター・クラウス!コーラスにはジョネル・モッサー、フィドルのヴァッサー・クレメンツにサム・ブッシュのマンドリン・・こういう達人だらけの布陣なので、まったく泥臭くない。

 日 頃から、土臭く、泥臭く、汗臭く、ホコリ臭く、田舎臭い、という5Kミュージックばかり聴いているので物足りないか、と思いきや、歌や詩が軽くないので全くそんなことのない全体にしみじみとした佳作だった。ダレル・スコットの名前はその時僕の脳裏に深く刻み込まれたのである。

 続 いて購入したのは、これまた変なジャケットの「THEATRE OF THE UNHEARD」(こんどはダレルのマリオネットが舞台でギターを弾いている。写真右)これがまたすばらしかった。ドラムのケニー・マローンは相変わらずだが、今度のベースはなんとダニー・トンプソン!もちろん“ペンタングル”のベーシスト、つまりリチャード・トンプソンの片腕さんね!これがこのアルバムに重量感を与えている。それにロドニー・クロウェルやキャシー・キアボラのコーラス、アンドレア・ゾーンのヴァイオリン、スチュアート・ダンカンのフィドルがフィーチャーされている。

 実 はダレスコは一度メジャーとの契約に成功し、ボストンでアルバム一枚分のレコーディングをしたのだが、会社の上層部は完成した音をたった5分ほど聴いたところで「アッ、これは売れんわな」と判断しあえなく没!つまりお蔵入りしたというなんともトホホな経験を持っている・・・相当に傷ついた(そりゃそうだ)彼はボストンを捨ててナッシュビルに向かい今にいたっているのだが、そのときの全没曲を11年後に再レコーディングしたものなのである。だからタイトルは「THEATRE OF THE UNHEARD」(聴かれることのなかった劇場)!・・・だが彼はそのことを少したりとも恨むわけでもなく、「きっとこれらの曲たちは、僕がもっと大きく成長してからこの世に出たたがっていたのだ、と今は思っている。だから11年もかかってしまった」と述懐している。いいヤツ!

 そ して今回の新譜・・・すべて彼が小さい頃から親しんできた、彼の音楽を基礎付けた偉大な先輩たちの名曲ばかりがダレルの思い入れタップリの解説つきで収録されている。

 ゴードン・ライトフット、ジョニ・ミッチェル、クリス・クリストファーソン、パット・メセニー、ポール・サイモン、ジョン・ハートフォード、レナード・コーエン、ボブ・ディランにラスト曲はガイ・クラーク!

 ・ ・・まだベテランと呼ぶには早すぎる49才のキャリアとしてはなるほどな選曲だなぁと思いながら聴き進めていたら、10曲目レナード・コーエンの名曲「JOHN ON ARK」の冒頭に聞き覚えのあるやさぐれた女性ボーカルが!なんとメアリー・ゴウシェ姉さんではないかいな!う、うれぴいぞ、おいら。去年に引き続き彼女の最新の歌を聴けるとはなんという幸せ!しかもこの曲のコーラスにはアリソン・クラウスまで参加しているという豪華版!

 今 回は、ドラムレスだからケニー・マローンはいないがダニー・トンプソンのベース、ダーク・パウェルのバンジョー、キャシー・キアボラ、アンドレア・ゾーン、スチュアート・ダンカン、サム・ブッシュなどいつものメンバーに加えて、ダニー・フラワーズのドブロまでが加わっている!僕は去年初めてダニーの音楽を知ったが、まるでリオン・ラッセルみたいな強烈な歌にビックリし思わず日記に書いた。日記タイトルは「知らんかってんちんとんしゃん」・・・だって本当に知らなかったんだもん。
 http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/080shiran.html

 ア ルバムのラスト曲は彼が「僕が今まで会って仕事をしたうち、最大のヒーロー」と呼ぶガイ・クラークの「THAT OLD TIME FEELING」しみじみ泣ける名曲です。

 この曲のレコーディングは一発録りで行われたのだが、実は終わったあとにダレルはガイを呼んでいる。その理由は、彼の楽曲には彼の手作りギターの音が必須であることに録音しながら気づいたからだそうだ。だがガイは弾いてはいない。ガイのギターを弾いているのはダレスコ自身である。つまりガイはわざわざダレルにギターを渡すためだけにスタジオにやってきたのである。ううう、いい話だなぁ。これぞまさしく「THAT OLD TIME FEELING」!


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