前のページへ 次のページへ 「エートス」こいて、もぉ〜!トップへ Net-Sproutトップへ
お〜!カナダ、ひろおか!



 先 週、貸していたハリー・マンクスが戻ってきたとき、その同僚が、「すんません!これも借りてました!」と渡されたのが、これ「THE GOOD TANYAS/CHAINATOWN」(写真左)
 す っかり憶えがなかったので思わず「これ、なんだっけ?」ときいたところ「ゲッ!何言ってんですか・・これ、「エートスさん」の大好きなジョリー・ホランドがゲスト参加してるっていう、カナダの女の子三人バンドじゃないですか!」
 「 へっ?あっ!そ〜?そ〜だっけか?」・・・言われて思い出した。だいぶ前に、新宿ディスク・ユニオン5Fにフラッと立ち寄ったとき、お店のW林さんに「これ、ジョリー・ホランドが参加してるから、「エートスさん」はきっと気にいると思いますよ」と言われ、購入したCDなのであった。
  らためて聴いてみる。

 ひゃぁ〜、なるほど、こりゃ、好きだわ!出だしからのアコギとマンドリンに彩られたアメリカ東南部を彷彿とさせる風景世界の中にふんわり浮かび上がる、ハスキーで少し頼りない声が、僕の心の中にスルスルと入り込んでくる。なかなかえーとす!
 続 く2曲目は、タウンズ・ヴァン・サントの「WAITING AROUND TO DIE」・・・おそらくバンジョーと思われる音が切なく響き、哀しみを伴うボーカルにハーモニカがかぶさるとワラワラと胸騒ぎがしてくる。
 3 曲目、4曲目と、こころの裏側の痒いところをチクチクと刺激するかのような痛がゆい声に気持ち良く聴き進む。そして5曲目、曲の途中で入るコーラスに耳が止まる!だ、だれじゃこの声は・・あっ、そうか、ジョリー・ホランドの声じゃんか!確かに音楽の世界観も、ボーカル担当のフレイジー・フォードの声もジョリーに似てはいる。だが、控えめなコーラスの中にあっても、ジョリーの声はひと際異彩を放つ。特に高音部のかすれた声は、独特だ。ジョリーの声にあって、フォードの声にないもの・・・それは死の翳の匂いのように思う。ジョリーの声は、どこかこの世のものではない・・・声質というより「匂い質」が違うのである。だから、似て非なる音楽世界に聞こえるのである。どちらがいい、わるい、ということではもちろんない(どちらも好き!)。だが、死のかいま見える世界への「引きずり込力」が、両者を明快に分けている。
 ど うやらこの「THE BE GOOD TANYAS」(写真右)というバンドに最初はジョリー・ホランドも参加する予定だったのだが、「やっぱり、私には合わない」ということで途中で抜けたのだそうである。わかるような気がする。きっとケンカしたとか、だれかとソリが合わないとかではなく、両者の音楽の世界に、文字通りの「彼岸」と「此岸」の差があることをお互いに気づいたのであろう。ありがちなケンカ別れでない証拠に、このアルバムにジョリー・ホランドはちゃんと参加して、彼女らの素晴らしい音楽世界に貢献している。
 だが「やっぱり、私には合わない」・・・ジョリーの世界に「合う」世界などない、ことを彼女は悟ったんだろう、その後彼女はソロワークスに突き進んで行き、3枚の素晴らしい、あの世の「匂い」が馥郁と漂う、「この世のもの」とは思われない、「奇」であり「妙」なる音楽を届けてくれた。
 と ころで、実は前回書いた「ハリー・マンクス」も今回の「THE BE GOOD TANYAS」もカナダ人である。僕はmixiのプロフィールにも書いたが、アメリカ南部音楽とカナダ人の音楽が大好きなのである。カナダ人の音楽は最初は意識していなかった。だがあるとき、好きな音楽家にカナダ人が多いことに気がついた。人口に比して不自然な程の割り合いをしめるカナダ人の比率からすれば、これは偶然というより必然と言わねばなるまい・・・ならば、なにゆえにそうであるのか?について、このコラム上に書き始めたところ、ものすご〜い大長編になってしまったことが(タイトルは「スモールタウントーク〜カナダ・南部」)あったけど(↓)、このところ、その結論(カナダの地理的、地政学的位置(太湖、大河、大海、山脈)と歴史的背景にその理由がある)を再認識させられている。
 「 スモールタウントーク〜カナダ・南部」

前編  http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/053canada.html

後編  http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/054canada.html

前のページへ 次のページへ 「エートス」こいて、もぉ〜!トップへ Net-Sproutトップへ