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出、出、出タァァァァ〜って、あんた!「ジョリー・ホランド」はお化けかい!


 だ って、出たんだもん!あの可愛いお化けが!っていうより、正確に言えば、「去年の秋に出、出、出テイタァァァァ?」なんだけどね.
 お 化けちゃんの3rdアルバムが出ていたのを知ったのは、先日立ち寄った新宿タワーレコード9Fのオルタナカントリーコーナーの試聴機の中に↑を発見したときである。しかもなんと一番目に入っているではないか!思わず我が目を疑った。マジかよ・・9Fの仕入れ担当さん!こんなのをオススメしてていいの?ホントに?他にもいっぱい売んなきゃいけないCDあるでしょうに(せめて100連発試聴機コーナーの1枚ならまだしも(それすら有りえないくらいマイナーだけど)、・・3枚しか試聴できないホットコーナーに置くとは・・)店長に殴られないのだろうか?他人事ながら心配である。
 彼 女のアルバムを初めて購入したのは、3年程前、新宿ディスク・ユニオン5Fで「大人買い」したときである。「大人買い」とはCDを一枚一枚、丁寧に吟味しながら買うのではなく、「この棚のここからあそこまで全部チョーダイ!支払いはアメックスのブラックでね」・・というようなパリス・ヒルトンか叶姉妹的購入方法のことである。だから僕はCDを枚数で買わないのである・・「じゃぁ、なんで買うんですか?」「はい、重量ですね・・ん、今日は2キロ位買ったかな、という築地の仲卸人的購入方式です」、といってもそれはバーゲンとか決算大処分といったときに限られるんですけどね・・・そして僕は大人買いの名人なのである、どこが名人なのか、というとキロ買いしても無駄なCDが一枚も入らない、というところなのである。
 で 、どれでも一律一枚500円!(10枚以上ご購入の方はさらに10%オフ!)セールのときの一枚が彼女のデビューアルバム「CATALPA」であった。



 (ううううう、なんだかジャケがでけぇ・・)ハレーション気味のチープな表1にインディアンの血を引いていそうな女子がアコーディオン、でこれをジャケ買いしたわけです。
 聴 いてすぐぶっ飛んだ・・な、な、なんじゃこりゃー(古くてすまない)である・・『』絵エー、カッコええーーフォークにカントリーにジャズやブルースやオールドタイムミュージックやらが融合している・・そんな音楽はそこら中に転がっているが、なんでも混ぜりゃいいてもんじゃない!しかし、こんなにもユッタリ感にマッタリ感にノスタルジィ感を醸し出すのも珍しい。裏ノラ・ジョーンズ(略してウラ・ジョーンズ)というか、性転換して若返らせたトム・ウェイツというか(余計わからなくしてすまない・・だが、英語版ウィキペディアによれば、トム・ウエィツ本人が彼女の大ファンであると公言してはばからないそうだ)
 彼 女のHPによるとこれは宅録しかも寝室録音(寝録(シンロク)か!)とのことである。早いハナシがデモテープ・・・だから歌の途中で咳き込んでいても、気にせずそのまま一発録り。それがまたハカナサとあやうさを醸造している。発酵モノが好きな僕にはまさにドンピシャ!

 で、出身がテキサスのヒューストン!しかも家系はクレオール!そいで、影響を受けたミュージシャンが、ビリー・ホリディ、ボブ・ディラン・・・、まではわかるがもう一人がギリアン・ウェルチ!と来たもんだ・・・そのうえで、「シド・バレットをどう演奏すればいいかがわかったので、大学を辞めて旅に出たのが1994年だった」などとカッコいい回想をしている。なるほど、なつかしいのに、どこかパンクでアシッドなわけである。そして、かすかに「死の匂い」がする。それは死臭ではなく、死の影の匂い(影に匂いがあるはずはないが)そんな有りえない匂いを感じさせるのだから参っちゃうワケである。早速友人のO.T.P氏に聴かせたところ、やたら感動していたが、自ら何度もアル中で生死の境目をさまよい最近ようやく甦ってきたばかりだから余計死の匂いに敏感だったのだろう。
 そ の彼女の2004年の、普通のスタジオ録音の一枚目(通算2枚目)が大傑作「Escondida」である。



 さすがに寝録より随分聴きやすくなっている。死の匂いや原始力(原子力ではないよ)は希釈されているがその分洗練された吟醸香を嗅ぐことができる。酒蔵で一杯だけタンクから汲んでくれたお酒を「カタルパ」とすれば、こちらは、キチンとラベルを貼って品評会に出される極上のお酒のようだ。だが、どちらも「旨い」。特に3曲目の「OLD FASHIONED MORPHINE」は彼女が影響を受けたというギリアン・ウェルチの「MY MORPHINE」と並ぶモルヒネソング(そんな歌のジャンルはないが)の傑作歌である。しかし、今回のジャケットも手振れしたようなピンボケジャケット。左側でフィドルを持っているのが、彼女だろうか?まったくわからん、顔が見たいよぉぉぉ・・
 な んて思っていたところで今回のアルバム「SPRINGTIME CAN KILL YOU」(なんてカッコいいタイトルなんでしょ!)の表一の真ん中に女性のイラストがある。彼女かしら(でもイメージ、チャウ!)・・と思ったら、なんと表2に彼女の写真があるではないか!うっわ!エロテロリストやん・・エキゾチックな黒髪、しかも黒いキャミソールで巨乳丸出し(じゃなかった半出し、じゃななくて上だし、というかハミ出し!)こんな恰好であんな歌を歌われたら、一発で鼻血ブーである(たとえが古くてすまない)中身はセカンドアルバム(エスコンディーダ)の延長線上にあるが、死の匂いがまったく消え、かわりに生きる力のようなものすら感じられる。きっと彼女は「死」と「生」がコインの裏表で、どちらが出てもホントは変わりがない、といったような境地を悟ったのだろう。すっかり堪能しました。
 お そらくノラ・ジョーンズの1万分の1も売れていまい。だがいつまでたっても自分の有り余る才能の10分の1しか使おうとしないノラチャンの1000倍真実の歌がある。そしてノラ坊より1万倍セクシーである(どうでもいいか、いや彼女のたった1枚の写真から立ち上る女性の香気はこれまでの人生を逃げずに生きてきた女性だけが醸し出せるものであるように思う。色気は大事なのである)

 タワーレコードの惹句には「2006年度の裏名盤第1位!」とあった。確かに2006年はディランやヤングやJ・J・ケールにノップラー&エミルーなど表の名盤も多かったが、裏名盤第1位・・まったくもって同感である。

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