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*この文章は2000年に書いた文章である・・書いたことすら忘れていたのだが、 つい最近偶然読み返して見て、「これって、やっぱ、今でも言えてんじゃない のぉ・・」と思うので、ここに掲げるのである〜ぶらきぼう

「国の安全」〜戦争と食卓
2000年 12月


 「 国の安全」・・・と言った場合、人々は何を想起するだろう。北朝鮮から発射 されたテポドンを打ち落とすことだろうか?
 現在、このような脅威に対しての防御は日米安全保障条約が担っている。
 つまり、自衛隊と米軍によって、である。しかし、正確には、そのもてる戦力か らいって、現実的には主として米軍によって守られていることは日本国民と世界の 常識といって良いだろう。
 ところで、自分の息子や娘から「お父さん、もし、この家に強盗がはいってきた らどうするの?」と訊かれたとき、「大丈夫。心配ないよ・・だってうちは総合警 備保障に入っているでしょ。もし、強盗が入っても連絡すれば30分で警備員がき てくれるからね。こんなに安全なこともないよね!ワハハハ」・・こう言われたら 息子や娘は「ワーイ、さすがパパ・・これで我が家は安心だね!ハハハ」といって くれるだろうか?「サ、サ、サ、サンジュップン!?30分?そのあいだ???」 ではなかろうか。
 で は同じ質問に対してこう答えたらどうだろう?
 「強盗がはいってきたら?・・・そしたらお父さんがその強盗を、即ブッ殺すよ!たとえ警察にあとで捕まってもいいから、そうやっておまえたちを絶対守るよ・・だから安心していいんだよ!」
 僕 が前者の家庭に生まれていればおそらくグレてしまうだろう。子供が意識的にも無意識的にも父親に求めるもの・・それは「守り」であり、家庭に求めるもの・・それは「絶対安全宣言」ではないのか?
 今 の日本は前者の家庭と状況が似ていると思う。
 最近日本の子供たちが、いや、大人たちもみんなしてグレだしているのもそこに原因があるのではないか?
 そ う、僕は日本は自前の軍隊をもつことで「本当の安全」が守られると主張したいのだ。そして唐突だけど、「本当の安全」は、たとえば、「食の安全」と置き換える事もできると思っている。えっ?と思われるかも知れない。なぜ、自前の軍隊をもたねば、「食の安全」が守られないわけ?一見両者(戦争と食卓)には関連性はなさそうに見えるかもしれない。でも例えば「遺伝子組み替え食物」・・・現在、家庭(特に子供)をもつ母親がこの問題に示す関心は非常に高いことはいうまでもない。そして、この問題に対する日本政府の対応に対して決して信頼を寄せていないことも事実だろう。
 アメリカから遺伝子組み替え作物を輸入したくなくても、もし、アメリカが米軍による安全保障と引き替えに密かに「遺伝子組み替え食物」の輸入を要求してきたら、「とき」の日本の総理大臣・森喜朗はどう対処するだろうか?おそらく考えることもなく、ほいほいこの裏取引に応じるだろう。
 「ほいほい・・」と言ったが、これは別に森さんの矜持のなさを嗤っているのではない。実は、もし仮に僕が「とき」の総理大臣だったとして、その取引には断固応じない!という自信はマッタクないからなのである。
 なぜなら遺伝子組み換え食品がもたらす「将来的な不安」より、いま「目前にある不安」の解消を優先するあまり、その輸入を選択するかもしれない(いや、確実に選択するだろう)と思うからだ。
 ましてやそのとき、北朝鮮やロシア、中国あるいはその他の国からの脅威にさらされている、まさにそのときに、アメリカから「どちらをとるか選べ」と恫喝されたら・・・

 実 は戦後の歴史・・特に戦後の食の歴史はその事を証明していないだろうか?
 戦後すぐの脱脂粉乳、その後の「ご飯よりもパン(つまり、日本を象徴する「米」ではなくアメリカを象徴する「小麦」)の方が健康にも発育にも良いのだ運動」によって日本人の食生活が変化していった過程・・そんなものもすべて「他国からの国の脅威」からの安全と引き替えに食の安全を取引された歴史に他ならないのではないだろうか?
 パンもパスタもおいしい・・でもそれらは確実に伝統的日本食に置き換わって行ったのが事実であり、農家が食料増産と減反政策に翻弄される原因ともなった。
 また、食の西洋化により、欧米型の疾病が増えていった(因果関係が明確になっているわけではないが)。その結果、欧米型の疾病に対する薬剤を製造している外国製薬会社のクスリの輸入量は確実に増えている。
 つまり、日本という国の「食料とクスリ」というまさに「身体的健康の安全」を司る両輪は、実は外国(とくにアメリカ)という他人に牛耳られているといって良いのだ。
 異論、反論はあると思う。戦争にボロ負けした日本が自前の軍隊をもてるはずもなく、戦後の飢餓、食糧難はアメリカによって救われたのもマチガイない。でもこの問題を今、直視し、「安全な国」はどうすると創られるのか議論していい。というより議論しなければならない時期だと思う。では、「日本軍」をもつとして、今の自衛隊の規模で良いかといえば、そうではない。人員的規模も武器力も足りないだろう。
 で はまず、人員はどうするのか?

 韓国やスイスなどのように18から20まで兵役義務(予備役)を課すしかないと思う。もちろん。兵役義務終了後は有事のときに徴兵されるだけである。また、思想、信条により兵役義務を受けられないもの或いは女子はどうすればいいのか?
 18才から20才まで何らかのボランティア活動に従事してもらう。もちろん女性でも兵役義務を受けたい人はそうすればいいと思う。傭兵でよしとするのは米軍(総合警備保障)でよしとするのと根本的には変わらない。かといって志願兵(イコール自衛隊)では人員的に不足を生じる。やはり上記の方法しかないだろう。
 「あなたは子供をもっていないし、自分が48才で兵役の義務がいからそんなことを平気でいえるのよ」と言われそうだが、「自前の軍隊」をもつと決めたら他に方法はない。
 で は、武力として、どこまでの兵器を所持するべきだろうか?

 ストレートに言ってしまおう。「核兵器を所持するのか否か」のことである 結論から言えば、周囲の国に核の脅威がある以上、抑止力という意味で持たざるを得ない。核を持たずに「スターウォーズ計画」のような完全なる迎撃ミサイルシステムを構築すればいいではないか?という考えもある。しかし、もし20発のミサイルが飛来し、19本まで打ち落としたとして残りの1本でも落ちたらおしまいである。報復を前提とした抑止力として核を待たざるを得ないと考える。
 さ て、ここで完全に今で述べてきたことと矛盾するのだが、やはり、日本は核を保有する軍隊(否、たとえ、核を持たない軍隊すら)もてないだろう。
 簡単なことだ。今の日本のリーダー達、森総理、或いは石原慎太郎に核のボタンを持たせることができるか?ということだ。その二人でなくとも良い。この人なら大丈夫という政治家がいるかどうか?
 すべての日本国民が口をそろえて「そんな人・・一人もいませんっ!」と断言するだろう。
 シ ビリアンコントロールが効かない国が軍隊を持つことの悲劇は先の日本が証明した。だが、文民統制(政治が軍部に優先し、軍隊をコントロールする)と言ったところで、その統制を行なう「文民」が石原や森では、同じことではないか。
 そ れよりなにより、いまだかって日本は戦争をおこしたがその失敗の総括をいまだに行っていないのだ。だってそれ(なぜ戦争をしかけ、なぜ敗れたのか)を学校で習った人いる?いないでしょう?
 また敗戦で一旦GHQによって完全に武装解除され、憲法第9条で永遠の武力放棄まで誓っておきながら、またいつのまにか自衛隊ができているのも、朝鮮戦争を期にアメリカからの要請によって泥縄式にできたからであることも学校では教えては貰えなかったもんね。少なくとも僕らの世代(昭和20年代生まれ)は!きっと僕ら世代以降も同様でしょう。
 だ からニホンは、自らおこして、見事にボロ負けした太平洋戦争について、未だ、誰も、なーんも考えてこなかったし、考えさせようともしてこなかった国家なのでしょう。だから「朝まで生テレビ」はあれほど議論がとっちらかるのです。
 だ から、「独立国として国民の健康と安全を守るためには?」と問い立てすれば理論的に導かれる結論は、どこから見ても「自前の軍隊をもつべきだ」なのだが、戦後なーんも戦争について考えてこなかった日本人の現状から導かれる結論は、どっから見ても「日本は自前の軍隊を持ってはならない」なのだ。
 だ ったら、潔くアメリカの属州、というかハワイに次いで、51番目の州になればいい、という意見も当然出てくる。

 祝日には「日の丸」じゃなく「星条旗」を掲げ、卒業式には「君が代」の代わりに「星条旗よ永遠なれ」を歌い、円ではなく、ドルを使い、独立記念日を祝う気があればの話だが・・そうやってアメリカ合衆国の51番目の「日本州」として認めてもらい、51州中最も環境基準や食品安全基準に厳しい州法を作り、「日本州」人の健康と安全を保全するという方法は荒唐無稽で非現実的(だって英語喋れる人は殆どいないんだから)だが、実は僕はそれも選択肢の一つだと思っている。

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