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勝負パンツ
 勝負服なら聞いたことがある。こちらは普段、練習のときに身につける稽古着ではなく、本選での勝負に臨むときに着る服のこと。
  勝負パンツ・・もちろん、デートのときにはいていく下着のことだ。いや、デートでなくともお目当ての異性と会うことがわかっているとき、ひょっとして、「今晩なにしてんの?よかったらゴハン食べない?」なんて誘われるかも。そしてそのままステキなホニャララな夜が待っているかも・・「そんとき、だせぇパンツじゃ台無しダベ・・」だから、慎重に選びます。
 でもはりきりすぎて、ミッキーマウスが刺繍されたラメ入りパンツじゃ、相手がひくかも知れない。金色のシルク地にドクロのマーク入りのパンツも、ひょっとして君がシャワーを浴びてるすきに相手に逃げられるかもよ。(あり得なぁい!大体そんなパンツないもん!)私だったら、そんなダサいパンツ着ないヨ。極上の薄いピンクのレース地に小さくて目立たない可愛いおリボンつきのヤツはいていくモンネ。だけど、センスのない相手に「君って案外地味だね」なんて言われたりして・・・  
 ことほど左様に勝負パンツの選択は難しい。
 大体において、せっかく徹夜までして選んだパンツもほとんどの場合、見せることなくすごすご帰ることの方が多い。また、勝負に臨んでも「先にシャワー浴びなよ」なんて言われて見せることなく、ホニャララに突入なんてこともあるだろう。
 だが、勝負パンツにはこだわろう。
  一体何がいいたいのだ、この俺は?
   えーっと、
    「シングル曲って、勝負パンツだ!」そうそう、それを言いたかったのだ。
 僕たちは「勝負する機会があったら、セイコーしたい!いつでもセイコーしたい!できればずーっとセイコーし続けていたい!」そう心から願っているスケべーな人種です。でもそれはただ願っているだけではセイコーできないことを知っている。またホニャララな夜を迎えるために、カッコいい勝負パンツを穿いてるだけでもダメなことも知っている。そんなステキな出来事を迎えるためにいろんな手練手管(古っ!)テクだ!が要ることだって知っている。なんだかんだ言ったって下着より中身でしょ。
  そのとおり!だが、勝負パンツに拘わらなければ「せいこー」する確率が低いことも経験則で知っている。もちろん、勝負パンツどころか地味なパンツでトキメキの夜が訪れることがあることも知っている・・・どころかパンツはき忘れていても、やれるときはやれる(あのねぇ!パンツはき忘れるってことないってば!)それも知っている。だが、勝負するときは、カッコいい勝負服を身にまとって臨みたいじゃないの。それでも負けるときは負ける。んなこたぁ知っちょる。だが、いつも勝負を意識し、そのために技をみがいているヤツの方が勝つ確率は高い。僕はさきにいいました。「一回だけセイコーしたいんじゃない。セイコーし続けていたいのだ」と。何も全勝優勝しなくてもいいけどさ。でも勝ち越したい。勝ち越すことが使命の相撲取りが「まわし」に凝るのと同じだ。あれって、ひょっとして元祖食い込み「ひもパン」?・・ちと太いな・・「ひも」じゃなくて「ツナ」・・「綱パン」か?横綱って言うくらいだからな・・ま、そんなことはどうでもいいんだ。
  勝負パンツは奥が深い?
 ミエミエでカッコわるくてはひかれちゃうし、センスよすぎてミえなさすぎても振り向かれない。センスと度胸が試されるわけね。でもこのギョーカイにいるスケべなオジさんたちは、マーケットをステキな異性との出会いに見立てて、よごと明日の勝負にむけて徹夜で「これにしよう」とか「いや、やっぱりこのパンツだ」とか言って朝を迎えているのです。

 で、勝負パンツは何枚か、もっていたいものです。できれば相手に合わせて穿き分けられるように。
  インディーズで困ること

 それは勝負パンツがなかなか穿けないことである。いやノーパン状態とさえ言える。シングルマーケットってないもんね。

 一時期、音楽業界の話題は「モンゴル800」だった。並み居るメジャーのライバル達を蹴散らし、オリコンのトップを占有し続けたことに胸のすく思いをした方ももいるだろう。まさにインディーズの鏡!小よく大を制す!小錦を倒した舞乃海!
  この成功の根底には、もちろん、親しみやすいメロディを持ったパワフルな楽曲があり、そのライブを見たファンが口コミで、その良さを伝えた、というのがある。だが、それとともに、シングルこそなかったが、勝負パンツともいうべき楽曲がテレビのコマーシャルタイアップで、流れまくった、ということがある。
 松下幸之助さんは「どんなに素晴らしい製品があっても、それが知られない限り、その製品はこの世に存在していない」といい、「宣伝しないのは企業の罪である」とさえ言い切っている。
 いいものでありさえすれば、それでいい、といのは「罪」なのだ。インディーズマーケットというのは、一面においては罪作りな人々の集まるフリーマーケットです。まわしをつけずに土俵にあがる(ウッ!またスモーだ)が如し。勝負服を着ないで、試合に臨むが如し。とは言え、確かに、こぎたない格好をした宮本武蔵が、華麗な勝負服に身を包んだ佐々木小次郎を打ち負かすと快哉を叫びたくなるし、物語として成立するが、それはそういうことは滅多にないからこそ共感を呼び、小説の題材たり得るという証明でもある。
  勝負パンツをはかずナンパに出かけるヤツは少なかろう。ではインディーズにおいてはどうするのだ?それは、勝負パンツを見せまくることだ。
 どういうこと?
  武富士や@ローンのポケットティッシュように今ではなつかしきシングルCD入りポケティを駅で配りまくる。もちろん、ストリートライブでは「もってって下さい!」「聞いてください!」「ただです!」という。あるいはインディーズショップにワゴンコーナーを置いてもらい、そこにポケットティッシュつきシングルCDを無料でおいて貰う、というのはどうだろう。いくら金がかかるかわからないが・・
 費用の問題。だが、松下翁が言うように、いいものをつくるだけではダメです。いいものを作るのは、言ってみれば当たり前。だって、君がいいと思えば、それがいいものだから。でも問題は、他の人が「いいね」と思ってくれるかどうか、でしょ。
  それは勝負して(聞いて貰って)みないとわからないことです。インディーズでは勝負パンツを穿かずにマーケットに出ていくひとが多い。でも、原宿の街に繰り出すのなら、勝負服や勝負パンツを考えるでしょ。いくら自分のカラダに自身がある人だって、すっぱだかで竹下通りやセンター街を歩かない。それと一緒。なにもヴィトンやシャネルのパンツである必要はない。手作りでもいいんです。ただ、勝負しようという気概と、それなりのパンツをはいて街にでようぜ。
 勝負しない限り、「セイコー」はできない。たまにセイコーできてもそれはまぐれだ。常に「セイコー」するために「ぜったいセイコーするぞっ」という気持ちと共に「これならセイコーできる」と思える勝負パンツをはき続けることだ。


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