正月気分もようやく抜けた1月半ば、N宅で遅まきながらの新年会をやることになった。 各自てんでに成増に集まる。 一番乗りは武川と、和服を身にまとった武川の彼女。 「○○ちゃん、すご〜い。自分で着たの?」 と、N。 「わたし日舞もやってるから、和服くらい自分で着られるの」 彼女はバレエと日舞、両方やっている。 「そうか、日舞もやってるんだった。さすがだね」 飲んべえの武川が口をはさむ。 「そんなことより、今日は煮しめと雑煮の材料持ってきたからさ」 「そいつはいいね。さっそく一杯やろうか。まだ早いけど」 そこへ鰐川が到着。 「わぁ〜、○○ちゃん、色っぽ可愛い」 「はいはい、いいからさ。そこ座って」 「まずは4人で乾杯だ」 「ぼく酒飲めないんだけど」 鰐川は下戸である。 「まぁまぁ、正月くらいつきあえよ。形だけでいいから」 「んなわけで、新年明けましておめでとう。かんぱ〜い!」 3番手に村松がやってきた。 「おめでとさん」 「はい、これ。我が家自慢の松前漬け」 「おっ、松前漬け。だったらワインより日本酒だな。ちょっと待ってて」 と言ってNが母屋に日本酒を取りにいった。 「あれ〜?この松前漬け、カズノコ入ってないよ〜」 つまみ食いしようした鰐川が素頓狂な声をだす。 「ば〜か。松前漬けはねぇ、スルメと昆布と人参だけでいいの。カズノコ入れるのは邪道です」 と村松が切り返す。 横でやりとりを聞いていた武川は「そんなもん、どっちもありなんだよ」と思いながら苦笑いをうか べている。 そこへNが日本酒を抱えて戻ってきた。 「はい、お待ち。N家ゆかりの帝松」 トクトクトクトク。 「くぅ〜。うめぇ」 「やっぱ正月は日本酒でしょ」 「ちょっと甘口だけど」 そうこうしてる内に金子と山下が到着。 「これで全員揃ったな。じゃあ、あらためて乾杯を・・・」 「の前にだなぁ」 Nが乾杯の音頭をとろうとすると、山下が割って入る。 「ここのNさんちだけど、いつまでも練習のたびにNさんちに集合っていうんじゃ体裁悪いからさ」 「・・・」 「だからこれからはサーフィン・ラビット・スタジオって呼ぼうと思うんだ。自主製作盤の裏にもクレジ ットしちゃったし」 「ふ〜ん。名前が変わっただけじゃん」 と、鰐川。 「いいの。物事は名前から入るのが肝心なんだから」 「まぁ、いいじゃん。カッコイイよ」 と、Nは賛同する。 「じゃあ、決まりね」 「あらためて、サーフィン・ラビット・スタジオにかんぱ〜い!」 「かんぱ〜い」 |