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「見ってい!」と思っていた韓国映画「密偵」を「見ってぃ」きた。

 「日帝」支配下時代の朝鮮・京城(現ソウル)と上海租界が舞台。日本の朝鮮総督府警察と民族独立を目指す武闘派集団「義烈団」の情報戦の攻防という歴史的事実が縦軸。朝鮮人でありながら総督府警察の手先となり、義烈団の情報を掴もうとする警視「イ・ジョンチル」(ソン・ガンホ)とその彼にわざと近づく「義烈団」のリーダー「キム・ウジン」(コン・ユ)のダブル、トリプルエージェント(密偵)の騙し合い、ばかし会いと、その間に二人の間に芽生える同志感の増幅とラストで「ソン・ガンホ」が朝鮮人魂を爆発させながらも冷静に日本側に復讐を遂げる物語(これも実話らしい)が横軸。

 画自体は淡々と進むが、冒頭の「義烈団」の隠れ家襲撃場面、中盤、上海から列車で爆弾を京城に運ぼうとする「義烈団」を車内で追い詰める総督府警察とそれから必死で逃げ回る「義烈団」との死闘(しかもその絶体絶命の状況の中で「義烈団」の中にいる裏切り者を特定しなければならないというダブルバインド!)、さらにはその両者の狭間で際どく立ち回る「ソン・ガンホ」、そしてラストの「ソン・ガンホ」による周到な建物爆破シーンなど、いつも通りのヒリヒリハラハラ韓国映画特有のサスペンデットなキレのあるアクションシーンが炸裂する。

 して「アシュラ」もそうだったけど、今回もまた洋楽が効果的に使われている・・租界時代の上海が一方の舞台だからだろうが、「義烈団」の残党狩りシーンでは「ルイ・アームストロング」の「When You’re Smiling」が淡々と流れるのが「義烈団員」の無念さを一層際立たせる。また、日本人高官が集まるパーティ会場を「キム・ウジン」の遺志を受けて「イ・ジョンチル」が爆破するシーンでは「ラベル」の「ボレロ」のみが流れセリフは一切聞こえてこない・・これは「ゴッドファーザーV」のラストシーンにおいて「マスカーニ」の「カバレリア・ルスティカーナ」が流れるのみでセリフがまったくないのと全く同じ手法を踏襲しているし、ラベル以外の音楽は「ニーノ・ロータ」の「ゴッドファーザーVのテーマ」にそっくりだから、この場面はハリウッドでも活躍するキム・ジウン監督の「F.F.コッポラ」に対するオマージュってやつですね!

 半はやや長くてもたれるところもあるけれど、中盤から後半は心拍数が上がりっぱなしになり、140分という上映時間も気にならない。

 「義烈団」のリーダー役の「コン・ユ」・・ついこの間みた「新感染〜ファイナル・エクスプレス」でも止まれない(止まったらゾンビに喰い殺される)新幹線で大量のゾンビと必死に戦っていたばかりなのに、今回もまたノンストップの列車内で日本の警察と死に物狂いで戦いながら裏切り者を探していた・・ホントにごくろうさんっす!

 た、「ソン・ガンホ」と敵対する同じ日本人警視「ハシモト」を演じた「オム・テグ」の異形、異常、狂気の役作りが素晴らしい!初めて見る韓国の俳優さんであるが、いやぁ本作における日本と朝鮮の狭間で揺れる「ソン・ガンホ」の演技も素晴らしいの一言だが、この「ハシモト」は本作でも特に記憶に残る怪演だった!このひとの名前「オム・テグ」忘れんとこ(素顔は超イケメンさんでした)!

 スト、映画は一人の若い朝鮮人学生が朝鮮総督府に自転車で向かうシーンで終わるのだが、そのラストシーンの謎はエンドロールの最後、音楽が終わるところで明かされます。最後の最後まで席を立てませんぜ!

 

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