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ランディ・ウィークス

 ア マゾンの「××××さんへおすすめがあります」コーナーのトップページにずーっと置かれていた「ランディ・ウィークス」(RANDY WEEKS)のニューアルバムを(実はリヴォン・ヘルムと同時に)購入し、このところずーっと聴いている、というわけで今週は、その名前通りに、ランディ(週間)weeks

 まずジャケットがいい(写真左)。アルバムタイトル「GOING MY WAY」がいい。音楽がいい。そして何より音のバランスがいい!

 ガ ーフ・モリックスの片腕リック・リチャーズのスネア3連発で始まる1曲目「I COULDN’T MAKE IT」・・なんともいい曲だが、初めて聴くランディさん、とてもいい声である。日頃かすれた声、しゃがれた声が好きだ、と言っているが、エレクトロニカなサウンドにも違和感がなさそうな、ちょっとだけデヴィッド・ボウイを彷彿とさせるポップな声にまず惹かれる。

 1 曲目もギターが素晴らしかったが2曲目のソロがあまりにもカッコいいのでクレジットを見たら、なんとトニー・ギルキーソンであった!ほぼ全曲で聴かれるトニーのギターが実に素晴らしい。多彩な音色に多様なフレーズ!ランディの歌にピタリと寄り添い、個人の気配を消しているようでいながら、どこかにギタリスト「トニー・ギルキーソン」の矜持が刻印される。

 ト ニーについては、以前イライザ・ギルキーソンについての日記にこう書いていた。

  「・・・・ところで弟「トニー」のソロアルバムも素晴らしい。数年前、新宿ディスク・ユニオンに行ったおり、風変わりなジャケット(写真右)と皮肉なタイトル「グッバイ・ギター」に心を奪われ手にとってみた・・・アーティスト名は「トニー・ギルキーソン」・・「ギルキーソン?」・・ギルキーソンなんて名前はそう多くはない!きっと「イライザ」の血族に違いない!と思い、試聴もせず購入!もちろんビンゴ!弟であったのだ。もちろん肝心の音楽が何とも素晴らしいカントリーロックアルバムで2個目のビンゴ!

 ネットで調べると、このトニー君、元「X」のメンバーとある。僕は知らなかったのだが、この「X」なるバンドは、アメリカでも超有名なパンクバンドだったらしい・・・で、驚いたのは、日本のバンド「Xジャパン」は、このバンドに憧れて「日本のXたれ!」というネーミングであったことである。その音楽を聴いたことはないけど、“ヨシキ”や“ヒデ”の名前くらいは知っている・・・ふ〜〜〜ん、そうなの、知らんかってん、ちんとんしゃん!

 よくよく考えてみれば、パンクを一回通ったカントリーといえば、それこそオルタナティブカントリーではないか!だからこのお魚ギター(本当にあるんだろうか?)が表紙のアルバム、カッコいいのはきわめて当たり前だったのである。・・・・・」


 ラ ンディ・ウィークスのアルバムプロデューサーは「チャリ坊」ことチャーリー・セクストンの弟ウィル・セクストン・・・ベーシストであるが、リックのドラムとの相性もバツグンで、リズムが心地よく決まる!素晴らしいベーシストが主導権をとる音作りはビシッと渋くまとまるなぁ。

 そ れに音のバランスが実に気持ち良い。音の分離も定位も際立ってよいのに全体としてはすべてのサウンドがしっかりまとまり、その上音像の奥行きや高さまで感じられる立体的なミキシング。このようなミキサーの名前は覚えておこう!メモ、メモ!「Mark Hallman」(マーク・ホールマン)!!

 あ っ、でもこの名前はさっき、どこかで見たぞ!と慌ててクレジットを見直したら、なんとこのアルバムのほぼ全曲でバックコーラスを担当している人ではないか!しかもさらによくよく眺めてみれば、4曲目「THAT’S WHAT I’D DO」(これがまたイライザ・ギルキーソンがコーラス(というより嬉しいことにほぼデュエットである)で参加している素晴らしいメロディに彩られた佳曲)では、ベースとアコーディオンを担当しているではないか!
 そうか、このエンジニアはシンガーであり、ベーシストであり、鍵盤奏者でもある技師(エンジニア)だったのだ。

 だ から、こんなに心地よいバランス(物理的なバランスではなく、あくまで五感で感じるバランス)とグルーブが作り出せるのだろう。

 再生芸術であるレコーディングにおいてエンジニアの存在は実に大きいが、このような、歌えて(しかもハモリがうまい)、ベースが弾けてアコーディオンまで手がけるエンジニアによる音作りはとても気持ちが良いものである。

 リ ヴォン・ヘルムのアルバムがベスト・アンバランス・ミックス大賞だとすれば、こちらはベスト・バランス・ミックス大賞である。

 ルシンダ・ウィリアムス姐さんが「マイ・フェバリット・アーティスト」と呼ぶランディ・ウィークス・・・全曲素晴らしい音楽でした。


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