チッチッチッチッ ユカリ(上原ユカリ裕 ココナツ・バンク)がテンポ130でハイハットを踏みはじめた。 パーカッション部隊が手巻き式のサイレンを鳴らす。 銀次(伊藤銀次 ココナツ・バンク)のテレキャスターが渇いたアメリカンサウンドを弾き出すとそこにコマコ(駒沢裕城 ココナツ・バンク)のペダルスティールギターが絡んでくる。まるでリトルフィートだよ、これは。 ・・・聞いてちゃだめだって。あと4小節・・・ 「〜脳味噌までとろけた〜そんな日照り〜」 「〜脊髄までシビれた〜そんな日照り〜」*3 ・・・この後ギターソロで、仕掛けがあってからサビはじまりっと・・・ 演奏がエキサイトしてゆくにしたがって自分たちのモニターの返りがまったく聞こえなくなってくる。クマもター坊もムラマツも必死だ。自分の声が聞こえないからといって、おそるおそる声を出していてはみっともなくてコーラスにならない。こういうときに移動中のオンボロ車内での練習が役にたつ。 一人が一定の音程を出している時、もう一人が3度とか5度とかきめて声を出す。高速を走っているときなんか騒音がひどくてほとんど自分の声も聞こえない。しゃくらないで音程をきめるのは実に難しい。ついついしゃくりながら音程をあわせてしまう。でも、車で移動する度にそんな練習してたらなんとか出来るようになった。 *3 「日射病」 written by 伊藤銀次 |
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