リィィィィィ〜ン 本ベルが鳴った。 美奈子の歌が始まる。 「〜猫が耳を撫でると 雨が降るといいますので〜」*1 みんな耳を澄ませて聞き惚れている。 「美奈子の歌ってやっぱりすごいね。パワーがあるもん。」 「そうだね。なんか神憑ってるってゆうか。」 「まぁ、わたしの歌と比べてもしょうがないけどさ。ね、それよりもっと練習しようよ。まだちょっとリズムがあやしいところがあるのよ。」 「あ、それって”無頼横町”のサビのけつのところだろう?あそこは・・・」*2 ター坊とクマの会話にムラマツが参加してきた。 「ちょっともう練習はマズイみたい。」 「え〜、なんでよ。」 「もう本番始まってるでしょ。ここの楽屋ってステージと近いから大きな音だすと漏れるんだって。とくに美奈子の場合はソロだからね。」 そう、美奈子のステージはピアノとヴォーカルだけだ。そして無音の間がある。それも彼女のサウンドだ。 *1「猫」song&written by 吉田美奈子 *2「無頼横町」 written by 伊藤銀次 |
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